第60回 嫁・姑

2018年10月25日

こんにちわ、永礼盟です。ご購読ありがとうございます。

唐突ですが、最近利用者の訴えが我慢出来ない時があります。勿論、利用者側も職員のサービスに満足していないと思われ、その悪循環がいや~な雰囲気を作り出しています。

自立の方へのサービスを目標としているのですが、その気持ちを持つ事も空しくなる時があります。

老人介護の仕事をすると決めた以上、その覚悟はしています。しかし、自分の気持ちが不安定だったり、余裕がない時には、我慢出来ない事があるのです。「毎日同じ顔に飽き飽きしたわ。」そんな利用者の訴えに、笑顔になれない自分がいます。

以前から少しずつ触れていますが、今まで介護度の重い方のケアが中心的だったのですが、ホームが落ち着いて来た事、職員数が増えて来た事からサービスの域に目線を向けて行こうという事で、自立の方へのサービスを考えて行く『ケア』を目標としています。

しかし、それを行う事の難しさを痛感しています。普段行っていたレクリエーションなんかでは、満足どころか怒りまであらわにされる方がいらっしゃいます。それはそうでしょう。有料老人ホームの利用者は、今まで美味しいものを沢山食べ、高級のサービスを受けてこられた方が殆どです。「あんたのボランティアを受けたくてここに来たんじゃないわよ!」サービスって一体なんだろう?と、嫌になります。

ふと考えると、介護と言う仕事に就いたのであって、レストランのウェイターになった訳ではありません。食堂での罵倒を聞くたびに、介護って何だろう?サービスって何だろう?と鬱ぎ込んでしまう事が多くなりました。

食事が終わると、「食器の方をお下げしてもよろしいですか?」そう声かけしておぼんを下げようとします。「あんたさ、片しちゃ駄目って言ったら片付けない訳?」そう言う返答がかえって来ます。なぜそんな事を言うのかは明確で、たまったストレスを職員にぶつけていると言う事です。その席からは、「あたしったら姑みたいね。でも、こんな事でも言わなきゃやってられないわよね~。」なんて声が聞こえます。言われたこっちがたまりません。

顔では笑顔で、「勉強が足りなくて申し訳ありません。」等と発言しましたが、心の中では、「くっそ ばば~あ!」と思っていました。

私は男性職員なので、意外に優しくしてもらっていると思います。年齢も祖母と孫の年代なので、こう言った苦労は、あまりありません。しかし女性職員、特に中年層の職員はとても侮辱的な事を言われたりしています。若い女性職員についても、生理や男性経験についてやらしく責め立てられている場面を見た事があります。

どう自分の視野を変えて行ったら良いのか、どう自分の在り方を変えて行ったら良いのか、色々考えていますが、なかなか答えは出ません。自問自答をくり返す毎日です。

嫁と姑が上手く行かないと、人ごとのように聞いた事がありますが、こんな状況を目のあたりにすると、上手く行く訳がないと強く思うのでした。

2004.05.23

永礼盟