第68回 ケア

2018年10月25日

こんにちわ、永礼盟です。ご購読ありがとうございます。

胃に穴が開いていた永礼盟ですが、順調に入院生活を送っています。ケアする立場が、ケアされる立場になってしまって不思議な気がします。その閉ざされた空間の中、逆の立場の自分は何を感じるのでしょう?

看護と介護の違いはあれど、基本的なサービスはあまり変わらない気がします。朝は、モーニングケアで蒸しタオルが配られます。口からの飲食が出来なかった私は、食事の配膳がなかったですが、だいたい時間で決められていて、前後15分でサービスが行われているようでした。

我がホームなら大変な事です。15分遅れたならば、時計を指差し、今日は遅いですね。と言い兼ねられない。そこが、サービスを「している」と「させて頂いている」の大きな違いです。

自分の思いは、看護師と介護士の違い、病院と老人ホームの違い、ヘルパーの位置づけ等にありました。

私は、ヘルパー2級の資格しかありません。しかし、ホームで求められる事は、病院と一緒なんですよね。医療を求められるんです。病院のヘルパーさんの扱いは酷い物でした。雑用も良いとこ。それはそうです。本当は、雑用しかしてはいけないのですから。

考え方によっては、私の今の立場は、やりがいがあると言えるかもしれません。要求は大きいのですが、サービスの名の下、医療も経験出来る訳ですから。勿論法律違反ですが、医療はホームで仕事をする上で、必要不可欠な部分がある気がします。経験を積むと言う点では、恵まれているのかもしれません。

私が入院した当日、自分は夜勤業務の日でした。その夜の夜勤の看護師さんを見て、夜勤の辛さと、ケアされる申し訳なさと、ホームの職員に迷惑をかける情けなさでいっぱいになりました。夜中、点滴の様子を見に来てくれたり、交換してくれたり、本当申し訳なかったです。

入院されている患者さんの中には、大声を出す方もいらっしゃったようで、夜中わめき声が聞こえていました。看護師さんの声が聞こえるのですが、「外しちゃったよ」なんて会話が聞こえると、抑制されているんだろうなと、我がホームの状況と比べてしまう自分いました。

勿論我がホームでは、抑制禁止です。便をこねてしまう利用者がいても、胃ろうのチューブを外してしまっても、抑制になるのでツナギを来てもらう事も出来ませんでした。大声を出す方、徘徊する方、暴力を振るう方、全て声かけ対応でした。

病院での対応を見ていると、難しい患者さんは勿論いらっしゃるようでしたが、その方がいるからと言って、業務が出来なくなる事はないようでした。当たり前ですよね。でも、ホームでは一人で夜勤をこなす等の問題から、問題行動があると、どうしても業務が回らなくなってしまう所がありました。

朝になると、看護師さんの申し送りが聞こえて来ます。病室が、ナースステーションの真ん前だったという事もあり、看護師さん達の声が良く聞こえたのです。

療養に努めたいのですが、申し送り等を聞いてしまうと、仕事を思い出して辛くなりました。看護師長さんと思われる声が、場に緊張感を与えているようです。介護施設も、基本は医療にある気がします。結局は、それぞれの方の健康管理がメインですものね。もっと勉強しなくてはいけないと、強く思いました。

療養していても、色々な事を考えてしまいます。当分、胃にあいた穴は、塞がりそうにありません。

2004.07.23

永礼盟