[24]チャリティ(上)

2018年8月25日

福祉と関係するので今回はチャリティについて語ろうと思う。
コンビニやスーパーに行くと必ず募金箱を見つける。買い物で貰ったお釣りなどをかさばるから募金箱に入れてちょっとした良心の安らぎを得た人も多いだろう。また駅などには共同募金や心臓移植の募金などを集める人々を見かけることも多い。
読者諸兄はこのようなチャリティを見てどう思うだろうか?おそらく実際に募金をしたことがある人が殆どだろうし、いい事だと信じてしているだろうと思う。
しかし、俺は最近は全く募金活動に参加しなくなった。勿論以前は阪神大震災の時もお金も物資も寄付するほど熱心な「慈善者」だった。だが、福祉と言うものの本質がわかるようになってからあらゆる募金活動から距離を置くようになったのだ。自分にあまりお金がないという福祉関係者ならではのもっともな理由もあるが、それでも100円くらい出せるはずだ。でも、俺はそんな小市民的な満足感を得るためにチャリティにお金は払いたくないと考えるようになった。
チャリティには何が何でもお金を出さないって何?しかも福祉を職業とするくせにモラルが無いじゃないか!そう考える人もいるだろう。それはそれでどう考えようが読者諸兄の自由だが、俺にはどうしてもチャリティを信用できない理由があるのだ。
チャリティには協力しないと言ったが、俺も人間だから心臓移植などの重病を治療するために頑張って募金を集めている姿を見るとたまに不本意ながらお金を入れることがある。しかし、絶対お金を入れない募金箱がある。それはコンビニやスーパーにある募金箱だ。あの募金箱に硬貨ばかりか紙幣まで入れる人もいるが、俺は硬貨すら絶対入れない。それどころか経営者のモラルを疑ってしまう。本質的には客に対する背信行為だとすら思う。なぜか?
そんなにチャリティに金を出したければ自分たちが稼いだお金から出せばいいではないか?なぜ、自分たちの商品やサービスを購入してくれる客に募金させるのか?しかも客から募金した金を慈善団体に提供して社会的名誉を受けるのは一銭も出していない店というのはあまりにも不道徳すぎる。
たとえ過程に問題があっても、慈善団体に寄付が行っているのは確かだからいいではないかという意見もある。しかし、俺はこの事にも疑問を感じる。赤い羽根の共同募金はおそらく読者のみなさんは知っているだろう。しかし、この共同募金のうち本当に「恵まれない人々」にお金が渡るのは2割弱しかないと言われている。俺は共同募金の使途について調べてみたが、全国単位での決算がないため未だによくわからない。各自治体の社会福祉協議会のHPなどに使われ道が載っていたが、何に使ったのかよくわからない項目が多い。ある自治体の共同募金の使途を載せたHPがあった。興味があったら見て欲しい。
http://www.dondon-net.or.jp/tukaimiti.htm
よく見ると「恵まれない人々」に使うお金ではない項目が多い。福祉功労者を表彰するための費用は「恵まれない人々」と直接関係ないではないか。また下に町内会の備品を購入する費用が計上されているが、それは税金か直接住民から費用を出すべきものだ。共同募金の趣旨から逸脱していると言われても仕方ない。
共同募金はまだ決算を発表するだけマシかもしれない。その他の団体などはその使途すら明らかにしていないことが多い。株式会社ではないから決算を詳しく公開する義務は無いが、善意を募るのであれば道義的には募金をどう使ったのか明らかにするべきだろう。現に募金する側から不信感を持たれるケースも少なくない。募金を騙った詐欺行為までありえるのだから、寄付した側が具体的な実態を知りたがるのは当然ではないか。
また「○○ちゃんを救う会」など子供の心臓移植など重病の治療費用を募る募金活動が決算が不明瞭な事を理由に思わぬ批判を浴びたケースもある。今のご時世らしくネット上でかなり不特定多数の非難や中傷を浴びる炎上状態にまで発展した。団体が「私財を出さずに費用を募金で全て賄う」と発言したことに反発を買い、「全く自分のお金を出さないなんて厚かましいにも程がある」と非難を浴びたのだ。
今のネット文化の恐ろしさや募金活動が非難を浴びる世知辛い世情に嘆きを感じる人もいるだろう。だが、主催者側にもかなりの落ち度があったのは事実だ。心臓の疾患についての診断書を公開するように求められていても頑なに拒否するなど主催者側の態度が火に油を注ぐ一面になったのは否定できない。募金したお金を何に使うのか?本当に重度の心臓疾患なのか?患者の親は本当に手術費用を自腹で出せないのか?募金を受ける側は見ず知らずの善意の人たちに助けてもらう立場なのだ。それを説明するのはよく考えれば当然の話だ。今までその部分は社会の寛容さもあり問い質されてこなかったが、募金を募る側にも意識の改革が必要だろう。
チャリティについては思った以上に長くなったので続きは次回にしよう。
今回チャリティに対してはかなり厳しい意見を述べたが、誤解が無いように言っておく。このメールマガジンは別に寄付をしたい人に「寄付をするな」と強要するものではない。自分のお金だからどう使おうが自由だし、俺の考えを押し付けるつもりは無い。その点、誤解の無いように。
エル・ドマドール