[088]年休あれこれ(18)合併や営業譲渡、出向などの場合
【合併や営業譲渡、出向などの場合】
今日は合併や営業譲渡、出向のときに年次有給休暇(以下、年休)の取り扱いはどうなるのかをお話します。
リストラの一環として、会社の合併や営業譲渡などが行なわれることが多くなってきているようです。社員としてはその大きな流れに従うしかないわけですが、労働条件が良くなるのか悪くなるのか、非常に気になるところです。
一番ありがちなのが、合併・営業譲渡によって勤続年数などの労働実績がリセットされることです。これは労働者にとっては不利益になることも多いですが、状況によってはやむをえない場合もあります。年休の取り扱いも同様に考えることができます。
【合併】
合併の場合は、債権債務が全て継承されると考えられるので、労働関係も合併後の会社に継承され、勤務関係も引き続き継続することとなります。(S23・1・25基収発第168号)
【営業譲渡】
営業譲渡の場合については、合併と異なり、債権債務は必ずしも継承はされず、従業員との労働契約は個別に契約を結ぶところによるとする見解があります。つまり再雇用とする考えです。
一方では「企業の経営組織の変更を伴わないところの企業主体の交替を意味するごとき営業譲渡の合意は、反対の特約がなされない限り、労働契約関係を包括的に譲渡する合意を含む」(S42・9・6高松高裁S40・2・12大 阪高裁など)とする考えあります。
厚生労働省は後者の見解を支持しているようです。(労働省労働基準局編著「労働基準法」上巻)
【在籍出向】
出向には在籍出向と転籍出向の二通りがあり、在籍出向の年休の取扱では出向元における勤務期間を通算した勤続年数に応じた日数を付与する、となっています。(S63・3・14基発第150号)
【移籍出向】
移籍出向は、出向先との間で新たな労働関係が成立するとする見解が有力なので、出向元会社との勤務期間は通算されないのが原則です。