[087]年休あれこれ(17)事後の年休
【事後の年休】
読者の皆さんの職場は、就業規則がいつでも閲覧できるようになっているでしょうか?就業規則は従業員がいつでも自由に閲覧できるようにしておかなければなりません。大丈夫ですよね?
その就業規則に、年休の取得についての項目があると思います。
「年休の取得の申請は10日前までに行なうものとする」
表現は多少違っても、このように事前に申請するような指示があると思います。就業規則にこのような記述の無い会社は進んでるといえます。ある会社はちょっと労務関係に弱い会社かもしれません。
このような「事前10日前」というように就業規則に明示すること自体は違法ではありません。ですが、年休はもともと労働者に存在する休暇ですので、その行使について使用者が口をはさめるのは時季変更権だけです。
ですから、就業規則に「10日前に」と書かれているからと言って、前日に請求した年休を却下することは出来ません。判例では、時季変更権を見極める時間があればいいとされ、前日の終業までに請求すればいいというのが通例となっています。「10日前に」と明示するのは、あくまでも「お願い」であって、「命令」であってはならない、ということです。
では、よくある事例として、病欠を事後に年休に振り替える場合があります。これを素直に認めている会社は良心的な会社といえます。事後の年休は、時季変更権を行使するかどうかを判断する時間が無いということで、年休に振り替えることを却下できるのです。しかし、この場合も時季変更権を行使して、替わりの日を提示しなければなりません。
いずれにしても年休に関しては、会社は「はいはい」と無条件で認めるのが賢いです。年休の請求について「10日前までに」などとしている会社は、直ちに「前日までに」あるいはこの項目を削除されることをオススメします。
ポイント:
- 当日、朝の電話による請求は認めなくてよい(認めてもかまわない)
- 最高裁判例では、当日でも使用者の時季変更権行使が認められる
- 同じ休暇終了後でも時季変更権を行使することが可能
- 事後に届けた年休を認めることは自由である
- 年休の取得に関しては会社は何も言わず認めるの