[098]セクハラあれこれ(3)環境型セクハラ
男性同僚から意に添わない猥談を聞かされる。壁のヌードポスターや置いてある男性雑誌が不快で仕事に集中できない。抗議すると逆にからかわれた。「アイツは誰とでも寝る」などの性的な噂を流され、職場にいるのがいたたまれない。
このように対価を要求しないまでも、その働く環境で就業がしにくくなるような状況を「環境型セクハラ」といいます。このような例のほか、仕事上のパートナーから頻繁に身体を触られたり、取引先で顧客から体に触れられたり、抱きつかれたり、キスされたりした、なども環境型セクハラになります。
終業後の飲み会でのデュエット強要、恋人の有無をしつこく聞く、新婚の女性社員に「子供はまだか」などと聞くことに対しても、一定の配慮が必要となっています。
「環境型セクハラ」にしても「対価型セクハラ」にしても現均等法では明確に規制することができないのが現状です。男女雇用機会均等法にあるのは努力義務であるため具体的に規制するほどの効力は期待できないのです。
このような環境を改善するには、男女雇用機会均等法(14条、33条)に基づき、厚生労働大臣または都道府県婦人少年室長に対して「紛争解決の援助」の「行政指導」を求めることです。
そしてそれでもダメな時は、今度は事業主の注意義務違反ということで、民法の不法行為に基づき裁判に持ち込むしかありません。こうなれば損害賠償を請求することも可能です。
しかし、実際にここまで持ち込むのは大変な精神力が必要でしょう。そうなる前に、事業主の方でよく勉強して、自社の職場にセクハラが起きないように配慮してもらいたいものです。