[198]就業形態ごとの就業規則

労働基準法は就業形態の違いによって労働者を分けることはしていません。パートもアルバイトも、正社員も嘱託社員も皆同じ「労働者」として定義しています。法の下に労働者は平等です。

労働基準法はどちらかというと労働者の味方的な存在ですが、これに就業規則を加えることで、会社にとって有利にことを進めることができます。したがって就業規則はきっちり決めておくことが会社のため、ということができます。

たとえば、就業規則に記載しなければならない事項として退職金があります。退職金を支払う制度があるならば、労働基準法によりこれを就業規則に記載しなければなりません。

しかし、もしこの退職金が正社員だけに支払う性質だった場合、就業規則が一つしかないとアルバイトやパートタイマーが退職時にこの就業規則を盾に退職金を要求してくることでしょう。

退職金を支払うのは正社員だけの場合には、正社員の就業規則には退職金の支払方法などを明記し、それ以外の社員の場合には「退職金は支給しない」などの記載が必要です。つまり就業形態ごとに就業規則を作成しておくのがよろしい、ということです。

就業規則は労働者を保護するのみならず、労働基準法が認めた会社側の「黄門様の印籠」ということができるのです。