tax[149]遺留分
相続は被相続人の意志によってその相続分を指定することができます。本来相続は被相続人の意志が尊重されます。そのため生前お世話になった第三者(他人)にも相続させることができるわけです。これを指定相続分といいますが指定相続分は法定相続分に優先するものとなっています。したがって法定相続人は第三者に対する指定相続分に対して対抗ができないのです。
ただし相続分には遺留分というのがあり、これは被相続人が遺言でその相続分を指定してあっても、それを超えて請求できる法定相続分です。遺留分は相続人が配偶者と子がいる場合は法定相続財産の2分の1。直系尊属(父母、祖父母)だけの場合は法定相続財産の3分の1となっています。残念ながら兄弟には遺留分はありません。
たとえば「愛人に全財産を譲る」という遺言があっても、配偶者、子、あるいは直系尊属親がいる場合は、全財産のうち遺留分を相続する権利があるわけです。
【遺留分は請求しないと効力を発揮しない】
遺留分はその権利を請求しないと効力を発揮しない性質を持った制度です。したがって遺留分を超えて他人に相続されそうな場合は「遺留分減殺請求」を起こさなければなりません。
さらにこの減殺請求は相続開始を知ってから1年以内に起こさないと時効になります。ただし遺留分を侵害されていることを知らなかった場合は、それを知ってから1年以内となります。また相続開始後10年を超えますと遺留分減殺請求自体できなくなりますので注意しましょう。
なお、遺留分は生前贈与に対しても効力を発揮します。ただしこの場合は生前1年以内の贈与に限定されます。それ以前の贈与については遺留分を主張することはできません。
2003.09.10