クルマの走行距離の話になりますと、よく出てくるのがタイミングベルトの交換。バカの一つ覚えみたいに「10万キロで交換」とよく言う人がいますが、実際はそうともいえません。イタリアの高価なクルマの場合は2万キロで交換だったり、あるいは私のクルマのようにタイミングベルトが無いクルマは交換不要だったり、それはいろいろです。ですが、国産車の場合は大体10万キロ、あるいは5年で交換というのはほぼ正しいと思います。
タイミングベルトというのはじつに重要な役割を演じています。エンジン内のクランクシャフトの回転とバルブの開閉のタイミングを合わせる役目を持っており、これがずれるとエンジンが正常に回転しません。
またタイミングベルトが切れるとクランクシャフトとバルブが勝手に動くため、お互いにぶつかったりしてエンジンを壊します。ベルトですから前兆無く切れますし、切れたらそのままではすまないことが多く、まず大きな出費となります。だから10万キロで交換しとこうという標語が生れるのです。
タイミングベルトが現れる前はタイミングチェーンを使うのが一般的でした。ところがチェーンでは精度が大雑把なため、1980年頃から高性能エンジンを始め精度の出せるタイミングベルトが多く使われるようになってきたのです。
昔はなかなか10万キロも走れるクルマも少なかったのですが、最近のクルマは平気で10万キロ位走ってしまいます。そこであまり耐久性の無いタイミングベルトの交換が必要になってくるというわけです。
クルマ自体の耐久性は上がっているのに、タイミングベルトを交換しなければならないというのは時代に逆行しているといえます。そこで最近また脚光を浴びているのがタイミングチェーン。昔は大雑把だったピッチも現在では6.35mmという細かいピッチを出すことに成功。これは日産自動車が最初に成し遂げた世界に誇れる技術なのです。
日産車には多く取り入れられてきたタイミングチェーンはメンテナンスフリーということで、今後多くのクルマに取り入れられることでしょう。その他のメーカーでもホンダs2000やサーブのV6エンジン系。ベンツやBMWなどにも採用されてきています。
ところでタイミングベルトを使っているクルマの場合、10万キロを超えたら実際問題として交換をしなければなりません。この場合の修理費は1万5千円くらいから10万円まで結構ばらばらなので、見積りは数箇所取ったほうがよさそうです。
国産車の場合は部品はせいぜい5千円くらい。問題は工賃です。車種によってはエンジンを下ろさないとできない場合もあるのでここらがばらばら。相場の目安としては3万円くらいの工賃が妥当なところでしょうか。
なお、タイミングチェーンを採用しているクルマは、交換は不要ですが、定期的な調整は必要なことは言うまでもありません。