タイヤには空気を入れるもの、という常識があります。最近では空気の代わりに窒素を充填することも多くなりましたが、基本的に気体を充填させることには違いがありません。空気を入れる以上、ついて回るのが空気漏れつまりパンクです。
タイヤがパンクをすると通常クルマは走れなくなります。無理に走ればタイヤ、ホイールさらに無理をすればサスペンションも傷めます。その前に車のコントロールができなくなり危険です。ところが、パンクして空気が抜けても走れるタイヤがいよいよ登場しました。新型ソアラやBMWのオープンカーZ8などに搭載されています。ダイハツなどの新型車にも搭載されるようになってきました。
このタイヤはランフラットタイヤといわれ、万一のパンクでタイヤの空気が抜けてもタイヤのサイドウォールが車重を支え、時速80kmくらいで約200km走れるというものです。このタイヤが全面的に解禁されれば、現在はすべてのクルマが搭載を義務付けられているスペアタイヤが必要なくなります。また車両重量の軽量化や車内外のデザイン性の向上などに大きな効果があるとされています。
実はこのランフラットタイヤは約20年前には既に開発されており、警察車両やタイヤ交換が困難な身障者車両には使われていたものです。なぜか一般車には許可されていなかったのですね。犯人のクルマを銃で撃ってパンクさせ逃走を阻止するのができなくなるからでしょうか?多分こういう規制はアメリカなどのマネをするのが日本流ですからそういうことは大いに考えられます。安全なのに許可されなかったというのは理解に苦しみますが、多分色々な御家事情があったのでしょう。お役所ですから。
さて、このランフラットタイヤですが、残念ながら今までのタイヤに付け替えて使用することはできません。なぜかというと、パンクしても走れますが、それゆえパンクしたことを知らずに走りつづけてしまうことが考えられるからです。パンクしても走れるとはいえパンク状態での走行は危険であることには変わりありません。そのために、ランフラットタイヤを装着するには、パンクを知らせるセンサーなどが装備された新型のクルマに限定されます。
新型車を購入予定のかたは候補に入れられてはどうでしょうか?しかしメンテにはお金がかかりそうです。例えばパンクの修理はできず、最寄の販売店でそっくり交換となります。また、冬用のタイヤも指定タイヤを購入しなければならないようです。
しかし、時代が一歩前進したということはできましょう。いずれ気体を入れずにパンクの心配の無い高性能なタイヤが当たり前の時代が来るかもしれません。
ちなみに、フォークリフトなど建設機械の世界では空気を入れないタイヤが当たり前だったりします。空気を入れないタイヤは乗り心地はガタンガタンとても悪いです。