クルマを選ぶ時にはまずいろいろなカタログを取り寄せ、あーでもない、こーでもない、と一番楽しいひと時を過ごすと思います。しかしいざ決めるときはセールスマンの人柄とか、試乗した印象とかで決めてしまうことが多く、買ったあとよく考えてみると計画していたのとは全然違うクルマに乗っていたりします。ま、これは自分の場合ですが。
カタログを見るときには意外と知識が必要です。前に申し上げた、ギヤ比や減速比とかもその1つ。できるならば設計者の意図を汲んでクルマは選びたいもの。カタログにはそんな設計者の意図が隠れています。今日はその1つであるエンジンの「内径×行程」についてお話します。
エンジンの「内径×行程」とは気筒(シリンダー)の中でピストンが往復運動する範囲(体積)のことです。ピストンの大きさではありません。内径とはシリンダーの直径。行程とはピストンの上死点から下死点までの距離です。
単位はミリメートルで表され、「内径×行程」の数字に気筒数を掛けた数字がエンジンの排気量になります。ちなみに内径のことを「ボア」、行程を「ストローク」といいます。
内径と行程を比較し内径のほうが大きいものを【ショートストローク】型エンジンといいます。また行程のほうが大きいものを【ロングストローク】型といいます。また内径と行程が同じものを【スクエア】型エンジンといいます。
【ロングストローク】型エンジン
例えばホンダフィット。このクルマに登載されているエンジンは4気筒(1339cc)で内径×行程は73×80mmです。内径のほうが小さいのでロングストロークエンジンです。ロングストロークエンジンは行程が長いので回転は上がりにくいのでスポーツ性に欠けますが、エンジンの回転に粘りがありますので、街中での乗りやすさに有利なクルマといえます。燃費も向上させる特性をもちます。
【ショートストローク】型エンジン
行程より内径の数字のほうが大いエンジンをショートストローク型エンジンあるいはオーバースクェア型エンジンといいます。ストロークが短いほど回転数を高めやすくなるので、高回転型のスポーティなエンジンに多い形式です。
例えば新型ゴルフEやゴルフワゴンに登載の新世代のオールアルミニウム製1.6リットルエンジンは、実用性を備えたショートストロークエンジンとして注目されています。軽やかでシャープな吹き上がりや心地良いエンジンサウンドが魅力なクルマです。
【スクエア】型エンジン
内径と行程の数字がまったく同じになるエンジンはスクエア型エンジンと呼ばれ、出力とトルクのバランスの良いエンジンとされています。私が乗っている日産プリメーラ(平成2年式、初代プリメーラ)のエンジンはSR20DEというのですが、これは内径86×行程86mmというスクエアエンジンです。多少うるさいエンジンですがバランスは良いと思います。