[090]海外洗面所事情
日本では古来より洗面所というのはあまり重要視しない傾向にありました。もともと日本家屋において便所は別棟であり、手洗いはほんとに手を洗う場所でしかありません。風呂場も別棟であり、ここにも手洗いはありますが名ばかりのものだったりします。最近では一般住宅でもゆとりのある洗面所を提案する住宅メーカーも増えてきましたが、お宅の洗面所はどうでしょうか?
欧米の場合、(と言って何でも欧米でくくるな、というご意見もありますが)あちらでは便所や浴槽より洗面所が主役です。これは文化の違いとも言えると思いますが、欧米では洗面所は裸になって身体を拭いたり、頭を洗ったりする文化があるのです。したがって、洗面所は生活の場として重要な役目があったわけです。
トイレットというのは日本では用便をするところとされていますが、欧米では化粧室のことをいいます。欧米人は化粧室で色々な作業します。朝夕の洗面、歯磨き、用便後の手洗い、外出から帰っての手洗い、服装直し、化粧直し、上半身の水拭き、ハンカチ靴下など簡単な洗濯など。用便はそれらのついでにします。
便所が男女別になったのは欧米からの習慣が入ってきたとされますが、これは洗面所の話であって便所自体は結構男女共用だったのです。用便を足すのは男女とも大体同じことをするわけですが、洗面所では男女違うことをするので一緒ではまずかったのでしょうね。
ということで、洗面所に対する日本人と欧米人の考え方は、かなり違っているのでそこに生じるマナーもだいぶ趣きが違ってきます。海外旅行で相手の国の人に不快感を与えないように注意する必要があります。(そもそもマナーとは自分が恥をかかないようにするためではない)
ズボンやスカートなどを人前で着替える人はいませんが、靴下や靴紐を確かめることは意外と人前で行なったりしますが、これはなるべく洗面所で行なってください。ホテルやレストランなど洗面所を利用するのに遠慮は要りません。
ポケットの中の金品の入れ替えも人前ではやりません。日本人は金持ちと狙われていることが多いので、ポケットの中の小銭をジャラジャラいわせないこと。これら現金の確認も化粧室で行なってください。
化粧室の個室での注意。国によっては鍵のかからないところも多いようですが、鍵をかけるのは個室使用者の義務です。ノックをしない習慣の国もあるので、いきなりドアを開けれられてから慌てないようにしましょう。鍵をかけず開けられてしまったほうがマナー違反となります。
同じように、自分の裸をやたら人に見せないようにしたほうがいいでしょう。これも見たほうより見られた方(つまり裸になった日本人)がさげすまれます。ちなみに、欧米人は人前でパンツを脱ぎません。日本人は平気で人前でパンツを脱ぐクセがあるので、それを行なう時は回りをよく確かめてからにしましょう。
便器は汚れているようなら、使用後はきれいにしておく、というのは日本国内のマナーです。でも海外ではそうとも限らない国もあり、きれいにするのがナンセンスなくにもあるようです。しかし、自分が使う前より汚くするのは間違いなくマナー違反となるでしょう。
水事情が悪い国もあります。こういう国ではレバーを下げても十分水が流れないこともあります。使用前に前もって流してみるのも一案です。ですが、水不足の国ではこれもマナー違反となることもあります。そのあたりは臨機応変に。
お国によってほんと事情が違います。