第53回 温泉

2018年10月10日

こんにちわ、永礼盟です。ご購読ありがとうございます。寒くなったり、温かくなったり、はっきりせい!と言う変な陽気が続いています。健康管理には気をつけたいものです。

こないだのoffに、温泉に出かけました。脱衣場で服を脱いでいると、私の視野に何やら異常な光景が飛び込んで来たのです。直視したのではなく、何となく見えたという表現が適切だと思います。年配の殿方が、フラフラしているのが横目で確認出来たのです。

その方向へ目をやると、殿方が嘔吐し椅子にもたれかかっていました。近くにいた客達は、たちまちその場から姿を消しました。人が倒れている姿を見て、その事態に関わりたくないからだと思われます。

普段見慣れた光景に、声かけをする自分がいます。「どうしました?大丈夫ですか?」すると殿方は、「大丈夫だ。大丈夫だ。」そう答えられ、立ち上がろうとし、転倒を繰り返しました。私は、いつもと変わらない声のトーンで声かけを続けます。「今、体が普通の状態ではないので、無理に立とうとしない方が良いかと思います。」「どこか具合が悪いようなので、少し体を横にしましょうか。」そう声かけを続け、体を休める事を促しました。しかし、羞恥心からどうしても立ち上がろうとします。

殿方のご友人が、その状態に気づき駆け付けてくれました。「お前、無理に立たないほうがいいよ。普通じゃないよ。」そう言ってくれますが、やはり「大丈夫。大丈夫。」と立ち上がろうとしては、フラフラしています。殿方のご友人が、「こういう時は、どうしたらいいんだ?」と言われるので、「専門のスタッフではないので、こちらのスタッフを呼んできます。」と、温泉に常駐しているスタッフを呼びました。

スタッフも、普段と違う状況にどうして良いのか解らないようでした。殿方の顔色は、見る見る青ざめて行きます。こういう時、自分はどの程度口を出したら良いのか分かりません。しかし、殿方の状態はどんどん悪くなって行きます。なぜ、倒れている人がいると、その場から立ち去るのかが理解出来ました。関わりになるのが嫌なのではなく、自分は何をしたら良いのかが分からないのです。温泉のスタッフもそうだったと思います。ただ、泡を吹く姿にオロオロしてしまうだけなのです。

ちょっと前の自分なら、間違えなくその場を放棄したでしょう。介護の世界に飛び込んだという事が、今の自分を変えている事は確かな事でした。

スタッフに、「もし医療スタッフがいるならば、すぐに呼んでもらえますか?殿方の体を冷やさないために、毛布かなにかありませんか?嘔吐しているので、お水をくんで来てもらえますか?」そんな注文をしてしまいました。俺、何様やねん!と言う状況でしたが、全裸で嘔吐物もそのままの状態がしばらく続いたので、つい口を出してしまいました。

スタッフがいない間、体を休める声かけをし、バスタオルで体をくるみました。やっと落ち着いてくださったようで、体を横にしてくれました。仰向けになってしまったので、体を横に向けます。膝を曲げ、手を胸に置いてもらい、テコの原理でやるあれです。なんで、プライベートで来ている温泉で体位交換しているんだろ?等と思いながら声かけを続けました。

「ちょっと逆上せてしまいましたかね?」と、嘔吐物を片付けながら聞きました。「いや~サウナに入りすぎたよ。1時間入ってた。」声かけに反応があります。殿方の友人は、「そりゃ、入り過ぎだよ。」とおっしゃられています。確かに1時間は、キツいですね。その間、一滴も水を飲まなかったそうです。いや~恐ろしい。

スタッフが、水を持ってきてくれました。どうやら医療スタッフもいらしたようで、その場をあとにしました。

サウナって、とても気持ちが良いですよね。最近の日帰り温泉もサウナがある所が増えているようです。でも、水分補給をしないと脱水になったり、脳梗塞の原因にもなるようです。気持ちのよい物も、扱いを間違えると大変な事になってしまいます。気をつけたいものです。

と、偉そうな事を言っていた永礼盟、ビールとサウナで思い切り具合が悪くなりました。

駄目じゃん、俺!

2004.03.30