第10回-介護用品 車椅子

2018年8月26日

真夏日かと思えば、肌寒い日があったりで、風邪をひきやすい季節です。また天気がよく暖かい日でも、家の中でじっとしていると、意外と寒かったり。着るもので、上手に体温調節して、体調を崩さないように気をつけたいですね。

今回は車椅子について、種類や選び方などについて少しふれたいと思います。車椅子は、歩行が困難または不可能な要介護者にとっては、正に脚の役割を果たしてくれるものです。車椅子を使うのと使わないのとでは、生活にもかなりの差が出るといっても言い過ぎではないでしょう。車椅子を使う事で、要介護者の方の生活範囲は、大幅に広がります。家の中だけでなく、気分転換にちょっと外出する時にも、無くてはならないものです。

では何を基準に車椅子を選ぶと良いのでしょう。車椅子選びの大事なポイントは、体にあったものを選ぶという事です。体型は人様々ですが、利用する人の体が、車椅子におさまりさえすれば良いという物ではありません。例えば、シートの幅では、要介護者が座った状態で、その脇に介護する人の手が入る位の余裕があるのが望ましいとされています。

その他にも、シートの高さや奥行き、背もたれの高さ、肘掛の高さなど、楽な姿勢で座れるものを選ぶようにしましょう。素材にも、アルミ製・スチール製・チタン製等があり、それぞれ軽い、丈夫などの利点があるので、用途に合わせて選ぶ事も出来ます。価格は、安いものなら2万円程からありますが、電動で様々な機能がついた高価な物もあります。

車椅子と一言で言っても種類は様々です。本人が車輪を手で回して進む「自走車」、介助者に押してもらう「介助車」、リクライニング式の物や、外出用に軽くて折りたたみ式の簡易車椅子という物もあるそうです。

迷ったら、ケアマネージャーにどんどん質問しましょう。あちらもプロですから、希望や用途を伝えれば、適切な物を選ぶのに色々と助言してくれます。ただ購入の場合は介護保険が適用されないので、自費になります。介護保険ではレンタルのみですが、最初はレンタルで幾つか使ってみて、使い勝手の良いものが見つかってから購入するという手もありますね。

実家の父は、外出用と室内用に二台の車椅子をレンタルで使い分けています。外出用には、少し重量がありますが大柄な父の体型に最も合った車椅子を使っています。室内用は廊下の幅が狭いので、少し小さめの物を使っています。今では車椅子なしの生活は考えられません。でも車椅子がある事で、歩こうという意欲は全く無くなってしまったのかな、とも思います。車椅子で、介護する側もとても助けられていますが、父の自立の気持ちを摘んでしまったという部分も無いとは言えないのです。

もちろんリハビリも実行して、その中で生活に必要なら車椅子を使うのは問題ないと思います。ただ父のように、リハビリを中断してしまっている人にとっては、良い事ばかりでもないような気がするのです。それでも最初に申し上げたとおり、車椅子を使う事で、生活のスペースは格段に広がり、それがまた他の事に興味を持ち、上手に気分転換ができ、何かをしたいという意欲にもつながる場合があるのも事実です。上手に利用して、生活に潤いを与える事が出来れば、意義深いと思います。

渡部紗也
2005.05.08