[36]認知症シリーズ―(1)定義

2018年8月25日

時々自分が書いているのが「老人ホームの裏事情」を忘れるくらい関係ないテーマを執筆しているが、今回はまさしく老人ホームの裏事情にふさわしいテーマを書きたいと思い「認知症」をテーマにした。
認知症という言葉を聞くことはよくあるが、これほどよく誤解されたり理解が不十分なものはない。まずは読者諸兄にお聞きしたい。
認知症とはなんだろうか?
福祉関係者でもこの定義が正確に答えられる人は殆どいない。介護歴が5年ぐらいの人でもきちんと正確に答えられる人は珍しい。ためしに聞いてみるとその答えはかなり笑えるものだったりする。
「とにかく知能が低下すること・・・ではないですか?」自信なさげにこう答える人もいる。知能が低下?それではヘキサゴンに出てくるあのおバカさん達は認知症なのだろうか?彼らは驚くほどクイズの成績が悪いが、認知症ではない。単に無知なだけだ。認知症ならばあんな難しい振り付けの曲を踊れない。
「物事や約束などを忘れやすくなることですか?」
典型的な認知症に対するイメージだろう。こんな答えが返ってくることもある。受験生が習った英単語の意味を忘れてしまうのは認知症と言えるのだろうか?残念ながら物忘れは認知症とは限らない。
介護をしている人でも認知症に対する定義の知識はこんなものだ。彼らの答えが全部間違ってはいないが、あまりにも認知症の理解が大雑把過ぎるのだ。あまりにも日常的に認知症のケースに直面するために改めて定義を考えたことが無い人が多い。勿論感覚的には認知症がどんなものかを知っている。しかし、基本的な定義を知らないために思い込み、錯誤や偏見の虜に陥っていることが少なくないのだ。このメルマガを読んでいる人は福祉関係者が多いだろう。思わぬところで恥をかかないようにここできちんと認知症の定義を学んで欲しい。もっとも福祉関係者は反感を承知で言えば恐ろしいぐらい無知な人が多数を占める。逆に正しい知識を学んで少数派にされないことを望むばかりだ。
前置きが長くなったが認知症の定義とは・・・もっとも簡単に言えば・・・
「後天的な器質的疾患による脳機能の低下」だ。
たったこれだけ?と思う人もいるだろう。短く漠然としているが、これだけ覚えれば間違いはない。脳機能の低下はなんとなくわかるだろう。あるところでは「後天的な脳の器質的障害により、いったん正常に発達した知能が低下した状態をいう」となっているが、「知能が低下した」では認知症独特の「物取られ妄想」がうまく説明できない。そこで「脳機能の低下」と漠然とした表現にした。
器質的疾患はなんだろうか?簡単に言えば認知症を引き起こす病気と考えればいい。例えばよく知られているのがアルツハイマー病だろう。そしてもう一つ代表的なのが脳梗塞に代表される脳血管障害なのである。この2つで大体認知症の7,8割を占める。
他にはレビー小体病、ピック病、甲状腺機能異常など聞きなれない名前の病気もあれば、アルコール中毒などでもよく聞く疾病もある。下記にまとめたので一度参考にして欲しい。聞いたことがない疾病が多いだろうが詳しい説明もまたしていきたい。
*認知症の原因になる器質的疾患
(1)脳血管障害・・・脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、脳血栓など
(2)脳変性疾患・・・アルツハイマー、ピック病、レビー小体病
(3)外傷性疾患・・・頭部外傷、慢性硬膜下血
(4)感染性疾患・・・進行麻痺、髄膜炎、脳炎
(5)内分泌代謝性疾患・・・甲状腺機能低下、甲状腺機能異常、ビタミンB、D欠乏症、ウイルソン病
(6)中毒性疾患・・・アルコール中毒、鉛中毒、水銀中毒、一酸化炭素中毒
(7)腫瘍性疾患・・・脳腫瘍
(8)その他・・・正常圧水頭症 癲癇 多発性硬化症
次も認知症に付いての理解を深めるべくその症状を紹介していこう
エル・ドマドール
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