[148]アセアンからのミッションの追撃

 今年の 5月19日号に「中国ミッションのラッシュ」というテーマを取り上げましたが、夏に入り一段落、代わりにてアセアン諸国の動きが活発になって来ました。 3月23日号「がんばれ!インドネシア」ではインドネシアの投資セミナー、 4月27日号「反日デモはマレーシアに追い風となるか」ではマレーシアの投資セミナーの様子を取り上げましたが、 7月に入りベトナムとタイが立て続けにやって来ました。
 まずはベトナムですが、日本商工会議所が主催したベトナム企業との商談会がありました。中国も含めてアジアのミッションに多いのは参加者のドタキャンです。当日行けば、目当ての企業は来日していなかったなどというのは不思議なことではありません。この日は話してみたかった相手 2社とも不参加で、ただでは帰りませんよとばかりにミッション・リーダーのベトナム商工会議所の部長の女性をいの一番につかまえて30分ほどお話をさせていただきました。彼女はハノイの貿易大学を卒業して日本語が大変お上手でした。彼女が力説するには「ベトナム人は真面目、親日家。これ一番大切なことでしょう。嫌われている所へ行ってもうまく行かないでしょう?」こんな事を平気で言うなんて。確かに日本のまわりには日本を嫌いな国だらけですから。
 次にタイの投資ミッションで、これは東京にあるタイの経済投資事務所が主催したもので、「金型・金属部品産業における投資機会」と業種まで絞りこみ、資料も袋いっぱいそろっていました。最後にはケース・スタディとして実際に進出している大手合弁メーカーの日本側のトップとタイ側のトップそれぞれから講演があり、更なる興味を抱いた方は現地視察旅行というフルコース・メニューでした。最近はどの国でも総花的な話は減っており、業種の絞りこみや個別の商談会にウェイトを置く傾向にあります。
 私が感じるには、こんなにミッションが来日するのは、各国ともよほど日本から投資を引き出したいのか、主催者の事業計画に入っているので無理やり実行するのか(でなければドタキャンはそんなに出ないはず)よくわかりません。日本のビジネスマンに言いたいのはこのような機会をもっと上手に利用すればいいということです。たとえば商談会に行けば、資料ではなく現地のビジネスの生の声が聞けるわけです。必ず公的機関の人も一緒に来ていますから、自分の必要とする情報を提供してくれるかも知れません。面倒だ、気後れするなどと言っていては国際ビジネスはとてもできません。
 私自身は、今年に入ってからこのような商談会をきっかけにしていくつか新しいビジネスが生まれようとしています。偶然ではなく、これはと思う相手を事前に調べておき、こちらも資料を作成して話を持ちかけます。幸い外国人には日本人のように名刺交換やうわべだけの挨拶だけして帰ろうという人はあまりいませんので、限られた時間内でインパクトある話ができれば、まず成功です。まずはチャンスをつかむ、次は自分に引き寄せる努力をすることができれば仕事はますます楽しく充実したものになるはずです。
河口容子
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