[81]交際費(6)福利厚生費の否認
福利交際費が否認され、損金となる経費として認めてもらえず、損金不算入の交際費となる場合があります。損金不算入の交際費とされてしまえば、その分は利益から控除されず課税されるということです。
また、福利厚生費と認めてもらえない場合は、本人に対する供与という性質から、給与または賞与とする場合もあります。福利厚生費が否認された場合、どちらにするかは判断に迷うことが多いようです。
具体的な混乱例としては
1.本人に対する給与(賞与として)所得税を課税する
2.福利厚生費ではあるが、冗費と判断して交際費とする(法人税課税)
3.本人への給与であっても交際費とする(法人税課税)
たとえば社員旅行が海外旅行であって、その費用が20万円。滞在日数が5泊6日としましょう。この場合は完全に福利厚生費とは認められません。やむを得ず給与とするか、交際費とするわけです。
・給与とする考え方に異論
そもそも給与とは労務の対価であり、その対価は本人の意志により処分できるものと解されます。この場合の海外旅行は本人に意志ではありますが、会社の意向でもあります。もしかすると断りにくい環境にあるかもしれません。そういった性質のものであれば、給与とするには無理があるといえるでしょう。
・では交際費か?
給与でありながら、交際費とする3の考えた方はもっと違和感があります。そもそも租税特別措置法では交際費の定義で給与を除外しており、また給与は個人に帰属するものであるから、事業用とうことはありません。事業用でない費用を交際費とすることはありえないのです。
とすれば、最も妥当な論は2ということになるでしょう。福利厚生費とするには金額が多すぎるあるいは贅沢であるという判断から交際費課税とする考えです。こういった考え方をするならば、限度額以内は福利厚生費、限度を超えた部分については交際費とするなどの措置も考えられるべきと思います。