[97]ふるさと納税
ふるさと納税は個人住民税の一部を、生まれ育った故郷の自治体などに納めることを可能とする制度です。過疎などによる人口減はそのまま住民税の税収減を意味します。悩める地方自治体に対して格差是正を推進するための新しい税構想として菅義偉総務相が2007年5月25日に創設を表明したものです。
都市部に人口が集中し、住民税による財源に格差を生じていることを是正する目的で考案されたものですが、支持率がた落ちの安倍内閣は、参院選に向けて地方重視の姿勢を誇示する上でこの制度をプッシュしている模様です。
確かに過疎による税収減には地方自治体の存続にもかかわり、地方としてはなんとかこの制度で財源を確保したいところでしょう。
しかし税というのは受益者負担の考えが大原則。特に住民税は、居住することで得られる「受益」の見返りとして「税を払う」ものです。居住地に支払うべき財源を、他の地方に払うというのは、税としてはおかしいという意見があるもの当たり前です。
ちなみに現住民税は1月1日に住民票がある自治体に納付することになっており、税率は2007年6月徴収分から一律10%になりました。この内訳は市区町村税6%が都道府県税が4%です。
[96]住民税大幅アップ
もし、ふるさとに恩恵をもたらしたいのであれば、生まれ育った場所から住所を移さなければすむ事です。実際、スポーツ選手など成功者は故郷への恩義(または支持を得るため)から住民票を移さずに、故郷に住民税を納め続ける場合も多いとききます。
しかし、これもおかしな話で、住所(住民票)は生活の拠点に本来移さなければなりません。そもそも住所は住民基本台帳法という法律で、各人の生活の根拠地に定めることとしているからです。
ふるさと納税の問題点
*「ふるさと」の定義があいまい。
*行政サービスを受ける住民が負担する「受益者負担の原則」の観点から逸脱
*日本に帰化した(日本に故郷がない)住民に対しての対策が示されていない
*根本的な地方活性化・格差是正の対策になっていない
故郷を支持したいという気持ちはわかりますので、何とか税という観点から抜けて、寄付あるいは献金というかたちで個人の意思を尊重した税制にするか新しい方法を考えることが必要と思います。
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