tax[151]借金の相続
相続人は、被相続人の財産を一切合財承継します。財産はプラスのものだけでなく、マイナスである借金(債務)も相続人に引き継がれます。
この場合ですが、プラスの資産は話し合いで法定相続分と異なる割合で分割してもかまいませんが、借金(債務)は必ず法定相続分で引き継がなければなりません。
たとえば、被相続人に借金が1,000万円あるとしたら、配偶者が半分の500万円、子供が二人いたとしたらそれぞれが250万円づつ引き継ぎます。この割合を変えることはできません。
プラスの財産がマイナスの借金を上回る場合はいいですが、借金が多い場合は相続人は大変なことになってしまいます。
そこで民法では、相続財産を引き継ぐかどうかを相続人に選択することができるとしています。
プラスの財産もマイナスの借金も一切合財引き継ぐことを「相続承認」、財産の引継ぎを拒否することを「相続放棄」といいます。もちろん財産のみ引き継いで借金を拒否する、なんてムシのいいことはできません。
【単純承認と限定承認】
相続を承認する場合ですが、これにも2種類の方法があります。
すべての財産を無条件でそのまま引き継ぐことを「単純承認」といいます。
もう一つは、財産の範囲内で借金を負担するという条件付の「限定承認」です。限定承認は相続人全員が共同で裁判所に届ける必要があるため、一人でも限定承認に異論がある場合は限定承認を受けることはできません。
限定承認の期日は3ヶ月です。放棄も限定承認もせずにこれを超えると自動的に単純承認をしたとみなされます。
また、相続人が相続財産の一部または全部を処分したり、隠匿したり、私的に使ってしまったり、目録に故意に掲載しなかったりしたことが発覚したときも単純承認とみなされます。
2003.10.22