tax[179]平成17年度税制改正(1)
~増加教育訓練費の特別税額控除制度の創設~
技術の進歩や同業他社への競争力が問われる社会で生き残るために、企業が行なう教育訓練費の増大は利益をかなり圧迫しているようです。そのコストをある程度控除することで法人税を軽減し、中小企業やベンチャー企業を支援するのがこの「増加教育訓練費の特別税額控除制度」です。平成17年度より新設された制度です。
ただし、この制度を利用するには、前2事業年度の教育訓練費の平均額が基準となるため、前2事業年度が存在する企業であることが必要です。今年できたばかりの会社は対象になりません。またこの制度の対象となるのは青色申告を行なう法人や個人事業主です。
教育訓練費とは、法人がその使用人の職務に必要な技術または知識を習得させ、あるいは向上させるために支出する費用をいいます。自社セミナーを行なって講師を呼んだ場合などに発生する、報酬、料金、謝金、旅費など。また外部施設を使用した場合はその施設使用料。外部教育会社に依頼した場合はその委託費用や教材費などが教育訓練費となります。
その教育訓練費が直前2事業年度の教育訓練費の平均額を超える場合には、その超える部分の25%相当額を法人税額から控除することができます。ただし税額控除の限度額は法人税額の10%が限度となります。
中小企業者には更に「中小企業者等の特例」の優遇措置があります。
上記基本制度に代えて、以下の特別税額控除額が選べます。
- 教育訓練費増加割合40%以上⇒教育訓練費の総額x20%
- 教育訓練費増加割合40%未満⇒教育訓練費の総額x教育訓練費増加割合x50%
例えば、当期の教育訓練費が500万円、前事業年度の教育訓練費の平均額が350万円、税額控除前の法人税額が450万円の企業の場合。
(1)基本制度では…
当期の教育訓練費500万円-教育訓練費平均額350万円=増加額150万円
増加額150万円x25%=37.5万円(税額控除額)
この金額は「法人税額450万円x10%=45万円」の限度額を超えていないので、このまま37.5万円が税額控除額となります。
(2)中小企業者等の特例では…
教育訓練費増加割合=150万円÷基準額350万円=42.9%
これは40%を超えるので「教育訓練費の総額x20%」が選べます。
500万円x20%=100万円
となりますが、限度額が「法人税額450万円x10%=45万円」なので、45万円満額を税額控除とすることができます。
この例では、(2)の中小企業者等の特例が有利になることが理解できると思います。
2005.06.22