信号待ちしているクルマが発進するとき、「ギョギョギョ~」という大きな音をたてて走り出すことがあります。走り出してしまえば音はしなくなるのですが、これはいわゆるファンベルトが緩んでいる時に起こる症状です。
普通はファンベルトと一括して呼んでいますが、じつはエンジンにはさまざまなベルトが組みこまれています。エンジンについているベルト類には、エンジンの内部に組み込まれていてカムシャフトの駆動を行なうタイミングベルト、冷却ファンを回すファンベルト、発電関係をひきうけているオルタネータベルト、エアコンのコンプレッサーを駆動するエアコンベルト、パワステを働かせるパワステベルトなどがあります。これらのうちタイミングベルトを除いたベルトをファンベルトと呼んでいます。
(余談ですが、横置きエンジンのクルマ「FF車」は冷却ファンは電動なのでベルト駆動されていません。つまりファンベルトは無いんです。)
これらの機能を1本のベルトですべて駆動しているものもあれば、2~3本くらいのベルトがそれぞれ必要な補機類を回転させているものもあります。いずれにしてもたくさんの補機類の駆動をエンジンの回転で賄っているわけです。エンジンの負担もさることながらベルトの負担も大きいのです。
こうしたベルト類は、もし切れてしまうと、当然それぞれ駆動している機構が作動しなくなります。冷却用のウォーターポンプを駆動しているベルトが切れるとエンジンはオーバーヒートします。また発電用のベルトが切れると充電できなくなりバッテリーが上がってしまいます。パワステベルトが切れると突然驚くほどハンドルが重くなるのでかなり危険な状態となります。
ファンベルトが切れたら走行してはいけません。もっとも走行は不能になることが多いのですが。もし、走行中にファンベルトが切れたら、代わりにパンストを使うとその場をしのげるといいます。本当でしょうか?私はやったことありませんのでちょっとわかりません。女性のパンストはそれくらい丈夫だという都市伝説かもしれません。正確な情報をお持ちの方はご一報ください。
いずれにしてもベルト関係は始業点検もしくは定期点検時にはきちんとゆるみをチェックし、状態によっては適宜交換することが必要です。