第76回 不穏

2018年10月25日

こんにちわ、永礼盟です。ご購読ありがとうございます。

最近我がホームがゆれています。落ち着きだした今年の春に比べ、入退院や救急対応が増えている気がします。不穏の原因はやはり夏の暑さと考えられ、涼しくなり始めた今、その影響が出だしている気がします。

公休明けで出社すると、必ず情報が変わっている気がします。検査入院、救急対応、転倒骨折、ここ一ヶ月の間に何名もの方が入院しました。不穏ではないのかも知れないのに、今まであった笑顔がなくなると、不穏と感じてしまう。

その空気は、いや~な重みを持ってホーム中に伝染します。いつも以上に、重度の方の言動がおかしくなったり、一日中眠りから覚めない方がいたり、それら全てが不穏に拍車をかけます。まるで、呪われているんじゃないか? と錯覚する程に。

今のリーダーに交代して、既に一年半という時が経過しました。以前のリーダがいなくなってから、沢山の事が変わりました。それは、ホームが落ち着いたと言う事でもあり、自分の存在価値が薄くなると言う事でもありました。ただ、今考えてみると、落ち着いていた理由はこう言った救急対応や、入退院の利用者が少なかったから落ち着いているように思えただけなのかな? そう感じるようになりました。疥癬が撲滅出来た時に、今のリーダーが赴任され、勿論入退院はあったものの、ここまで連続して起こる事はありませんでした。疥癬対応の時は、次から次へと問題が起こり、救急対応も入れ替わり立ち替わり起こっていました。その状態に、少し疲れてしまっていた自分がいます。そして、色々な事がもの凄いスピードで変わって行くうちに、自分の居場所がなくなっていったんだと、落ち着いて考えられるようになりました。

今が踏ん張り時だと認識しました。本当に良いホームにして行くためには、この状態の時に踏ん張る事が出来なくてはいけないと。イジメられてはいるけれども、人間関係が悪い訳じゃないので、まだまだやれる。そう心に言い聞かせています。

昔との違いに、リーダー、リーダー補佐、看護師の連携をとるようにマニュアル化されていることです。それともう一つ、救急対応しなくてはいけない時に、職員個人の判断で救急対応出来るように態勢が変わった事です。以前は、脳内出血を起こして痙攣している人がいても、個人の判断で救急対応してはいけない事になっていました。まずは、リーダーに状況を報告し、リーダーからの指示がないと救急車を要請出来ないと言う訳の解らない教えが存在していたのです。夜間も同様で、リーダーが眠りから覚めなければ、ずっと救急対応出来ない事になります。それは、オーバーな話だとしても、対応の遅さを指摘された事はありました。

上の人間は、それを全て現場の職員のせいにします。なぜ、その状況を見て早急な対応をしなかった? と。勿論、その教えがある事を知っての上です。そんな、チャンチャラおかしい組織状態が今は一変され、早急な対応がとれる態勢がくまれています。我がホームに関して言えば、リーダーになる人の力も素晴らしいし、組織の上との連携もとれている。組織長は、現場の意見をよく聞いてくれ、時に問題行動のある利用者から夜勤者を守るために、自ら夜勤業務を行う事もありました。

やはり人間、こう言う人にはついて行ってしまうんですよね。良いリーダーがいる、看護師、リーダー補佐との連携がとれている、現場の意見を聞いてくれる。こんないい環境はないと思われ、もう少し頑張って行かなくてはいけないと自分に言い聞かせています。細かいことを言えば、ホームの四角形が手を取り合う事は不可能なのかもしれませんが、その四角形は、少しずつ良い形をして来ているように感じます。

この四角形が、不穏を吹き飛ばせるよう願っています。そして、自分も何処の環境へ言っても順応出来るヘルパー、介護士になれるよう頑張りたいと思います。

2004.10.01

永礼盟