第3回-トイレについて(1)

2018年8月26日

皆さん、こんにちは。

前回までに介護保険の概要とサービスを受けるまでを簡単にご紹介しました。なんとなく介護保険を利用するための手順は理解していただけたと思います。今回は、介護していく上で、最初の難関になるであろうトイレの問題を、身近な例を上げて紹介したいと思います。

体が不自由な人を、毎日お世話するのは、精神的にも肉体的にも、大変な事が沢山あると思います。その中でも、避けて通れないのが排泄に関することです。人間、生きている限り、必要なのが食べる事と排泄する事。排泄に関して言えば、とてもデリケートで、症状によって対処も違い、介護を初めて体験される方は、戸惑う事もあると思います。

一人でトイレまで行くのが難しければ、家族に連れて行ってもらう、それも無理ならポータブルトイレ、尿瓶やオムツを使いますが、高齢者ご本人も家族も、出来ればトイレでしたい、させてあげたいと思うものです。けれど様々な機能が衰えているので、トイレまで間に合わなかったり、頻繁に尿意または便意があったりと、介護する側は世話や後始末に終われ、その事で頭が一杯になってしまい、精神的に余裕がなくなってしまいます。

また、介護される側も、自分の意思に反して失敗してしまうのですから、ストレスも感じるでしょうし、家族にも申し訳ない気持ちで一杯だと思います。だからといって、家族の方からオムツをしてほしい、とはなかなか言えないものです。少しでも体が動くうちは、トイレに行くのもリハビリだから…と。実家で父を介護する母も、ぎりぎりまで頑張っていました。オムツの話を出しても、「お父さんが可哀想な気がして…」と言い出しにくかったようです

けれど、やはり度々お漏らしをして、時にはベッドの下に水溜りのようになっている事が続くと、ストレスもかなり溜まってきて、さすがにどうにもならないと思ったのか、父が一人になる時だけ(母は昼間仕事をしています)オムツをしてもらう事にしました。なにしろ90キロの巨体です。立たせるのも、着替えさせるのも、頻繁になればなるほど、介護者である母の負担はかなりのものだったと思います。父自身もオムツを使うようになって、ずいぶん落ち着いたように思います。

自分の親ですが、私も子供からオムツをしてほしいと言われたら、父が傷つくのではないかと、言えずにただ見守っているだけでした。介護というのは、肉親だからこそ難しい問題が、まだまだ出てくるのだろうなと考えさせられます。私自身、母に任せきりではなく、少しずつ手伝えるようになれるといいと思います。

渡部紗也
2005.01.29