第9回-介護用品 ベッド

2018年8月26日

暖かくなりましたね。こんにちは、お元気ですか?先週、終わりかけの桜を見に、父を連れ出すのに成功しました。風が強い日で、少し肌寒かったけど、雪のように舞い降りる桜の花びら、とてもきれいでしたよ。子供たちを近くの公園で遊ばせて、コンビニ弁当でお花見してきました。いよいよ花の季節到来ですね。

今回から様々な介護用品について、その利点と必要性を考えてみたいと思います。最初の今日はベッドについてです。高齢になると、体の様々な機能が衰えていきます。特に足腰に症状が現れると、日常の生活の中でも、不便さを感じたりする事も出てくるでしょう。起き上がりや立ち上がりの動作は、介護生活のうえで、最も多い動作だと思います。この動作を、要介護者・介護者共に、出来る限り楽にするため、ベッドはとても有効だと思います。畳に布団を敷いて寝ている場合と、ベッドの場合では、立ち上がる動作だけ見ても、ベッドのほうが腰の位置が高く、足をおろしてベッドの手すりにつかまる事が出来るので、とても楽になるでしょう。

実家の父は、介護認定を受けてまず取り入れたのは、ベッドでした。すでに自分一人で立ち上がる事が困難だったため、居間にソファーベッドを置いて、その上に布団を敷いて寝ていましたが、手すりなどが無かったので、母が居ないとずっと布団の上で、自分で起き上がろうともしませんでした。最初ベッドの導入を考えた時、ただでさえ1日寝転がっている事が多い生活が、ベッドを用意する事で一気に寝たきりになってしまうのでは…という不安もありました。

確かに、ベッドを使う事で自立の芽を摘んでしまう、という考えも一部ではあるようです。けれど使い始めて一年ちょっと経ちますが、導入前は昼間でも布団の上でぼーっとしていた父が、今は自分でベッドから起き上がり、近くに置いてある椅子に座って過ごすようになりました。ほとんど一人では歩く事の出来ない父が、ベッドの手すりにつかまって一メートル程はなれた所にある椅子に移動できると聞いたときは、正直驚きました。

何より良かったのは、昼夜逆転の生活で、昼間でも横になってはうたた寝ばかりしていたのがなくなった事です。ポータブルトイレの時もそうでしたが、家族だからこそ考えすぎて、介護用品に頼るのをためらっていました。けれど、我が家の場合はベッドを使う事で、不規則な生活も改善されたのです。

ベッドと一言で言っても、種類は豊富です。ケアマネージャーの方に相談すれば、カタログで色々説明してくれるでしょう。実際見てみたいなら、福祉機器店やデパートの介護用品コーナーでも多少見る事が出来ます。最近では、電動で高さ調節や、背上げ、脚上げの出来るものが主流だと思います。購入となると大きな買い物ですが、レンタルもあります。レンタルなら、使ってみて合わなければ、別のものに変えることも出来ます。ただしベッド本体はレンタルでも、マットレスは購入しなければならない事が多いようです。

部屋が狭くなるのが難点ですが、下に布団の生活よりは、確実に移動が楽になるはずです。要介護者本人にとっても、立ち上がりやすいと、自分でやってみようという気持ちが起きるのかも。自立の意識を失わせないような生活環境を整えるのは、とても大切な事ですね。

渡部紗也
2005.04.24