【第1回】有料老人ホーム歴史編(1)
子どもには年金、家、土地をあてにされて、築25年の狭い建売り住宅の4畳半の片隅でテレビだけを楽しみに生活する老後はいかがであろうか。団塊の世代が65歳を迎えるのはそう遠くない、極めて現実的な話である。
昔は有料老人ホームというのは別名、賄い付きホテル風お金持ち隠居場という感じが一般的だった。ところがバブリーな時代はまだひっかかるご年配者がおいでになったが、この不景気ではそういう方も減ってきている。
10年くらい前の入居費3000万、月々25万からという有料老人ホームはラブホのフロントのように受付おばさんの顔がみえず、閑散としていた。かわりに総合エントランスはむろん、全廊下、全個室に備え付けの防犯カメラのモニターがフロントのカーテンの内部にはついて24時間、365日作動している。それを一人のおばさんが注意深くみている、週刊誌のページを指なめなめめくりながら。
家族への説明は、「お客様のいかなる店転倒、徘徊、急変にも対応させていただきます対応ができております。」とそのシステムにいかにお金がかけてあるのかをセールするのである。緑一面の芝生の庭の向こうにはしゃれた塀がある。ご高齢の方は、曲がった腰を縦に伸ばしても、みえないであろう、その塀の向こうは??立派なセレモニーホール。その建物のさらに向こうには一企画いくらの永遠の大理石のベッドが用意されているのである。お家に帰ることなく、永遠の時までお世話する高級老人ホームがあったのである。
で、次回はこの不景気の、介護保険制度なる不可解なてめーで責任とれよな、じゃなければ江戸時代の四人組制度の悪用なる制度下の今風有料老人ホームについてお話しょう。お楽しみに。
2005.07.20
辻本ゆめの