[74]実質的な一人オーナー役員の場合(18年度税制改正)

2013年6月9日

今年2006年4月から適用される税制の一番の目玉はこれでしょう。

「実質的な一人会社のオーナー役員への役員給与の損金算入制限措置」

2006年5月から会社法が変わり、今まで役員が7人必要で資本金も1000万円必要だった株式会社の設立が、一人でも設立できるようになり、しかも資本金の縛りがなくなります。つまり誰でも簡単に会社が設立できるようになったわけです。

そうなると、インターネットなどで個人で収入を得ていた人が、節税のためには会社を設立したほうがいいということになります。個人事業の場合は、総収入から経費を引いた残りに税金がかかります。

しかし会社の場合は、収入から役員給与という形で支払えば、会社としては損金、給与となれば控除がありその上法人税よりも所得税のほうが税率が緩やかである関係で、かなり節税になったものです。個人で収入をそこそこ得られるようになったら「法人成り」が常套手段でした。

今回の改正でこれが無残に打ち砕かれる結果となったわけです。経費として算入する役員給与の控除部分を損金に算入できなくなる仕組みです。
ただし、これ適用になるのは過去3年間の所得が平均して800万円以上の場合です。800万未満の場合は適用外。また平均値が出ない、今年設立したような会社は所得が800万円に満たなくても適用になるので注意が必要です。

この適用に該当しないようにするには、出資比率を見直すとか、同属以外の役員を増やすとかしなければなりませんが、そのような手段を講じる割には合わないと思いますので、これは受け入れるしかないでしょう。

しかし、何のために一人でも会社が設立できるようになったのか?それは経済活性化のためにほかなりません。経済産業省がいくら前向きに先進的な改正をしても、そこからむしり取ろうとする財務省が足を引っ張る。いつの時代も「取れるところから取る」という税制改正には舌を巻くばかりです。
以下概要です。

【対象】
実質的な一人会社(オーナー及びその同族関係者等株式の90%以上を保有しかつ常務に従事する役員の過半数を占めている同族会社)

【措置の内容】

オーナーへの役員給与について経費の二重控除相当する部分(給与所得控除相当部分)の法人段階での損金算入を制限

【適用除外】
所得(個人事業所得相当部分)が年800万円以下である場合
所得(個人事業所得相当部分)が年800万円超年3000万円以下でありかつ当該所得に占めるオーナーの給与の割合が50%以下である場合