第3号(5/29号)でも書きましたが、前にエンジンがあって、後ろのタイヤを駆動する方式をFR(フロントエンジンリアドライブ)といいます。前にエンジンがあり、後にはタイヤに駆動を伝達する機械がありますので、前がやや重いですが前後の重量バランスは良い。この形式は歴史があり技術が洗練されているので、機械的ストレスもなく走行音も静かです。高級セダンやスポーツカーには素直なハンドリングなFRが最適です。ただし、ぬかるみや雪道などの走破性はFFのほうが上。
FF(フロントエンジンフロントドライブ)は前にエンジンがあり、その下の前輪を駆動します。前輪はハンドルで方向を決めますから、切った方向に駆動力が働きます。そのために雪道のようなところにきわめて強い。FRのクルマで雪道を走ると思わぬところに行こうとしますが、FFではそういう事はなく思った方向へ進むことができます。しかし、FFはエンジンや補機類がすべて前にあるため、機械的ストレスがたまりやすく、経年変化によって騒音が大きくなることがあります。
国産車の場合小型車はほとんどFFです。趣味趣向が高い車種にはFRも復活してきました。また軽自動車では少ないスペースを有効に使うため、コンパクトにまとまるFFが有利です。ですが最近は軽自動車といえども自由なレイアウトを取ることもあり、ニューホンダZなどはユニークなミッドシップレイアウトを採用しています。
MD(ミッドシップエンジン)はエンジンが車体の中心付近にあり後輪を駆動します。中心といっても後軸の前にあるものをミッドシップといい純粋に真中ではないです。エンジンが座席の後ろにあるため2シーターのスポーツカーでないとなかなかとれないレイアウトです。重量のあるエンジンが前後のタイヤの中心付近にあるので自然なハンドリングが楽しめます。
フェラーリやランボルギーニ等のスーパーカーや往年の名車ロータスヨーヨッパ、国産ではトヨタのMR-Sなどがミッドシップです。マツダのRX-7もフロントエンジンですが、エンジンがかなり後方にオフセットされていますのでフロントミッドシップといえるものでしょう。
ミッドシップのクルマは走りを重点に置いているためほかの事はあまり考えて作られていません。2人しか乗れなかったり、整備がしにくかったり。それでも所有する喜びがあるのがミッドシップのスポーツカーです。