DOHCとかSOHCとかよく聞く。DOHCはダブルオーバーヘッドカムシャフト、SOHCはシングルオーバーヘッドカムシャフトのこと。今のクルマのほとんどがどちらかのエンジンを搭載しています。
エンジンのシリンダー(爆発するところ)には燃料を吸気するところと爆発したあとに排気するところが別々にあります。それぞれのポートはバルブがありそれが爆発のタイミングによって開いたり閉じたりしています。DOHCエンジンは吸気側のバルブを開くシャフトと排気側のバルブを開くシャフトをそれぞれ別に設けたものをいいます。SOHCは吸気側と排気側の両方を一本のカムシャフトでまかなう方式です。
では、2本にするとどういうメリットがあるかというと、1本が2本になるわけですから部品の数は増えますが、一本あたりの重量は減りますよね。カムシャフトやバルブは高速で運動する部品ですから、軽い方が良いのです。難しくいうと慣性質量が減るので高速での追従性が良くなる。つまり高回転型のエンジン設計が可能なわけです。
同じような理由から、吸気バルブ排気バルブをそれぞれ二つにしているエンジンもあります。これは更に高性能です。4気筒16バルブDOHCエンジンといったら、シリンダー数が4つあり、それぞれの気筒には吸気バルブが2つ排気バルブが2つ、そしてそれを駆動するカムシャフトが2つあるという意味です。
DOHCの方が、吸排気系の効率が良く、一般に高性能エンジン向きだということになっていますが、実際市販車レベルではその方式による違いはほとんど無いのです。DOHCの方が高性能だというイメージがあるため、高出力エンジンはDOHCを採用することが多い。要するに売るためにDOHCを採用したりします。
たとえば同じクルマでも搭載されるエンジンによって馬力が違うことがあります。SOHCの場合125馬力、そしてこれがDOHCになるといきなり160馬力になったりします。もちろんこの数字は確かで、乗ってみればその違いは歴然。
ところがエンジニアに言わせれば、今の技術力ではSOHCだって160馬力を出すことは簡単にできるといいます。でもそれをやるとDOHCとの差がなくなって売れなくなるのでやらないだけ。SOHCのほうがシンプルで安上がりなんですけどね。
ところで今でもアメ車の一部ではOHVと言うエンジンを搭載していのがあります。日本車の影響でアメ車もDOHCエンジンを積むようになりましたが、私はこの旧態依然としたエンジンが大好き。OHVエンジンはオーバーヘッドバルブという方式のエンジンで全く高回転に向かないエンジン。でもアメ車の場合エンジンの排気量を大きくして馬力を得るのでこれでも十分なのです。
DOHCとかSOHCエンジンというのは高回転で馬力を得るシステム。OHVエンジンが悪いということはないんですよ。