日本では自動車の税金は排気量で分けられていますが、フランスでは馬力で分けられています。つまりフランスでは馬力の大きいクルマは税金をたくさん払わねばなりません。
日本でも一時期馬力戦争なんてのが流行りまして、スポーツタイプのクルマは軒並み280馬力を謳歌したものです。もっとも280馬力以上は出さない取り決めのため280馬力で抑えていましたが、技術的には馬力なんてのはいくらでも出すことができます。例えば私は700馬力のニッサンのフェアレディ300ZXを知っています。化けもんですな。
さてよく聞く用語に「トルク」と「馬力」があります。似ていて非なる「トルク」と「馬力」。何となくエンジンの性能を表すものだとは知っていると思いますが今日は「トルク」と「馬力」の違いを説明しましょう。ま知らなくてもどうってことはないですが。
トルクっていうのは回転させようとする力の事をいいます。1kgの物体を1mの棒の先につけ、持ち上げる事のできる回転力を1kgf・mで表します。カタログなどでは(kg・m)で表記されており大体10~30kg・m位のクルマが多いですね。もちろんこの値が大きい程、加速させる力が大きくなります。
トルクは持ち上げる力があるかどうかを示しますが、馬力は1秒間に持ち上げられる仕事量を(kg・m/s)で表します。馬力とトルクの関係は
【トルク x 回転数 ÷ 716.6 = 馬力】
であらわすことができます。
では、現実問題として、トルクと馬力はどうなの?ということになりますが、排気量が大きいエンジンは低速でもトルクが大きいです。トルクが大きいと概して運転がしやすいですね。気を使わなくても楽に運転ができます。
軽自動車のように排気量の少ないクルマは低速でのトルクが無いので、エンジンの回転数を上げて馬力で稼ぎます。したがって軽自動車は頻繁にギアチェンジをしてエンジンの回転数とギア比を選んでやらないと、ギクシャクした走りになってしまいます。
ディーゼルエンジンも高圧縮比のエンジンなため、馬力はあまり無いですが低速トルクがあります。ラフなクラッチ操作をしてもするする走り出してしまうのがディーゼルエンジン車の良いところです。ただしディーゼルエンジンは回転が上がらないですから、その後の加速はガソリンエンジンにかないません。
乗って運転しやすいエンジンは、トルクと馬力のバランスがとれたクルマです。スポーツ走行をしたいのなら馬力があって、トルクの幅があるクルマがいいですね。ゆったり走りたいなら、馬力よりトルクで選ぶことになります。
しかし、最近クルマは低速から十分なトルクがあって走りやすくなっているし、高速道路でも十分に快適に走れるだけの馬力はあるので、そう気にする必要もないでしょう。