[04]せんせい。(2)

2018年8月9日

中二も終わりの頃、ある日突然K先生はこう言いました。

「フルーツバスケットをしよう!」

突然ですよ。勿論皆、「なんで?」と言いました。でもK先生は「一度でいいからやりたかったんです。」とだけ言い続け、みんな訳のわからないままフルーツバスケットをしました。私もどうしてなのか分からなかったけど、K先生が何か必死にやりたいと言っていたので、ただ楽しんでフルーツバスケットをしました。久し振りにすると楽しいものです。

三年生の卒業式のあとには、いつも離任式も行われます。その時は、まさか、なんてことも思わなかった。何も、予想なんてしていなかった。私は、離任する先生たちの行列を見て驚きました。K先生が、並んでいました。

そう、K先生は自分が離任することをずっと黙っていたんです。それを皆に告げないまま、ただ、「フルーツバスケットがしたい」と言ったんです。

K先生が並んでいるのを見た途端、皆どうしてK先生がフルーツバスケットをしたいと言ったのかすぐに察して、殆どの子が泣き出した。
「ありがとうございました」
皆、泣きながらそう言った。最後のHRで、森山直太郎の「さくら」を歌って、御別れしました。
「一緒に修学旅行に行きたかった…。」
K先生は泣きながら言いました。

K先生と修学旅行に行かれなかったことが、本当に残念です。K先生は、自分が離任することを校長から言われたとき、みんなにどう言っていいかわからなかったそうです。今じゃK先生を離任させた校長を恨む始末ですが。(笑)

たった二年だけだったけど、K先生は私の恩師です。

2005.07.30

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