[08]心の傷(3)
とりあえず友人たちと一度離れた私は、校門前に置いてある生徒クラス分け表を見に行きました。必死に仲の良い友人の名前を探したことを覚えています。大棒とは同じクラスになれましたが、他の友人は殆ど違うクラスでした。母校と他校を合わせて360人以上の5クラスでしたから、当然でしょうが…
私に姉が居ることは話しましたね。姉は二つ上、当時最年長の受験生でした。明るく気さくで何事にも真剣に対応する、見た目は普通にヤンキー入ってますがとにかくとても優しく私の憧れです。その姉は生徒会副会長な訳でして、通学二日目のこの日、全校朝会があったのです。勿論生徒会役員は全員前に居るので、役員紹介の時姉が紹介されました。私の名字は地元より外の区域にある名字なのでとても珍しく、校内に私と姉二人だけの名字でした。つまり、その姉が私の姉であることは皆に分かることです。
姉はデブの私と違い、バドミントン部の部長とダブルスを組んでいる運動能力抜群の、背は私より十cm低いですがとても筋肉質で顔も可愛いです。そんな姉の妹がこれと来たもんだ、中学生男子が何も言わないはずがないでしょう。
朝会が終わり、出入り口で姉が待っていたので話していたら、男子数人がすれ違い際に「これが妹?うっわ似てねー(笑)」と呟きました。わざわざ私に聞こえる声量で。姉が一睨みすると男子たちはさっさと行ってしまいました。
少ししょぼけてしまった私を見て、姉は「頑張れ、あたしも後で教室来るし」と私の肩を叩き、背中を押してくれました。これだけで元気になれた私は、大棒と一緒に、生徒クラス分け表に書いてあった私の組である4組へと向かいました。
しろいぬ万呼