tax[131]青色申告制度

2013年5月27日

日本の所得税制は、申告税制を建前としています。すなわち自分で自分の納める税金を計算し自分で申告する制度です。これは税制を押し進めていく上で大変有効な手段ですが、一方でいくらでもごまかしができるという側面を持っています。そこでその申告をチェックする制度が必要であり、その業務に推進には、国民全体に記帳の習慣を浸透、奨励させる必要があります。

青色申告制度は、その税制を確立するために国民に正しく記帳させ、ちゃんと記帳できたものには税金を安くしましょう、という制度です。

【青色申告の承認を受ける】

青色申告は
1)不動産所得
2)事業所得
3)山林所得
のみにその適用が認められています。

これらの所得を有する人は税務署で「青色申告の承認申請書」をいう用紙に必要事項を書き込み提出します。新たに青色申告をする人はその年の3月15日までに申請書を所轄の税務署長に提出します。その年の1月16日以後に新たに開業した人は、開業の日から2ヶ月以内に申請すればよいことになっています。

承認されたら、
1)帳簿書類の備付け
2)帳簿書類への取引の記録
3)帳簿書類の保存(通常7年間保存、5年間保存の書類もある)
という3つの義務が生じます。要するにちゃんと帳簿をつければ良いということです。承認は一度でよく毎年する必要はありません。

【青色申告の特典】

1)純損失の繰越と繰戻しができる

事業所得などが赤字になり、純損失が生じたときには、その損失額を翌年以後3年間にわたって、各年分の所得から差し引くことができます。また、前年も青色申告をしている場合は、純損失の繰越しに代えて損失額を前年の所得から差し引き、前年分の所得税の還付を受けることもできます。

2)専従者給与を経費に算入できる

青色申告者と生計を一にしている配偶者やその他の親族のうち、年齢が15歳以上で、その青色申告者の事業に専ら従事している人に支払った給与は、届出書に記載された金額の範囲内で専従者の労務の対価として適正な金額であれば、必要経費として認められます。

但し、青色事業専従者として給与の支払を受ける人は、控除対象配偶者や扶養親族にはなれませんので、要注意です。

3)青色申告特別控除がある

不動産所得又は事業所得の青色申告者の場合、貸借対照表を損益計算書とともに確定申告書に添付して確定申告期限内に提出している場合には、所得金額から最高55万円の青色申告特別控除が認められます。(より簡易な記録の方法により記帳している場合は最高45万円)

それ以外の青色申告者については、不動産所得、事業所得及び山林所得を通じて最高10万円を控除することを認められます。

4)貸倒引当金の計上ができる

事業所得の青色申告者の場合、売掛金、貸付金などの貸金の貸倒れによる損失の見込額として、年末における貸金の帳簿価額の合計額の5.5%以下の金額を貸倒引当金勘定へ繰り入れたときは、その金額を必要経費として認められます。(金融業の場合は3.3%)

青色申告はきちっと帳簿を作り、期限を守って申告しないと青色申告の承認を取り消されますので、期限を守りかかさず申告するようにしましょう。

【第14号加筆修正版】

2002.10.02