tax[147]相続の欠格と廃除

2013年5月31日

【相続欠格者】

相続は被相続人の死亡によって自動的に開始されます。相続人がいれば好むと好まざるにかかわらず相続することになります。

ただし相続には「相続ができない」という場合も存在します。民法では以下の欠格事項を決めており、この中の一つでも該当する場合は自動的に相続人の地位を失います。(民法第891条)

1.故意に被相続人または相続について先順位もしくは同順位にある者を死亡させ、または死亡させようとしたために、刑に処せられた者。

2.被相続人が殺害されたことを知って、これを告発せず、または告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、または殺害者が自己の配偶者もしくは直系血族であったときを除きます。

3.詐欺または脅迫をして、相続人が遺言をしたり、その取消しや変更しようとするのを妨げた者。

4.詐欺または脅迫をして、相続人に遺言させたり、その取消しや変更をさせた者。

5.相続に関する被相続人の遺言書を偽造・変造・破棄したり、隠匿したりした者。

相続争いに絡んで殺人を犯したり、その事実を知りながら告発しなかった場合は相続権を剥奪されます。また詐欺や脅迫も同様です。まるでテレビドラマのようですが。なお、これらの行為を行なった場合は、遺言書に遺贈の旨が書かれてあっても無効となります。

【推定相続人の廃除】

以上の「相続欠格」は民法でその定義が決められているため、相続人、被相続人の意志にかかわらず有効になる厳しいものです。

それとは別に被相続人の意志で、推定相続人の廃除ができます。つまり相続させたくない人が相続人にいる場合、その権利を剥奪できる制度です。

被相続人の生前に
1.被相続人を虐待した
2.重大な侮辱をした
3.著しい非行があった

などの事由がある場合、被相続人は家庭裁判所に申し立ててその人の相続権を取り上げることができます。これは遺言書の中に記述していても有効です。

排除の申請を受けた裁判所は仔細に内容を吟味し、相続人が申請通り相続するに当たらないと判断した場合は相続権の廃除を認可します。なお、この排除の認可は被相続人が生きている場合はその取り消しが可能です。

2003.07.30