第4回
■■シメサバと寄生虫
私は寿司といえばバッテラというくらいにバッテラが好きなのです。もちろん江戸前寿司にも目がありません。昔すし屋のカウンターに大トロをズラリ並べさせたくらいですから。いやお金がいくらあっても足りない。
バッテラというのはさば寿司のことで、範疇としては大阪寿司の押し寿司になります。元々はコノシロというコハダの成魚をネタとしたものですが、コハダが高くなり取れなくなったこともあって鯖が代用されました。しかし、鯖は独特の臭みがあるので、酢と塩で締めた鯖に白板昆布を乗せて臭み対策をしたところ、この昆布がすばらしいうまみを提供し、バッテラを一躍有名にしたのです。ちなみにバッテラとはオランダ語でボートの意味です。コノシロがピーンと尾を張ったところがボートに似ているところから命名されたとされます。
さて、この鯖ですが、寄生虫が多いことでも有名です。日本近海の魚に良く見られる寄生虫はアニサキスというもの。これは2cmくらいの長さで糸のような姿をしており、主に魚の内臓に寄生しています。魚を料理しているとうずまき状に巻いて寄生しているのが見られます。鯖、ニシン、タラなどはこのアニサキスが高い割合で寄生しているので生食は避けたいものです。
アニサキスは酢や塩にも強いのでシメサバといっても安心はできません。といってもおいしいシメサバを食べないわけにもいかないので、注意点を挙げておきます。
アニサキスは内臓に寄生する寄生虫なので、新鮮なうちに内臓を除去した鯖なら大丈夫です。鮮度が落ちてきますと、内臓から身に移ります。こうなると除去できませんので、なるべく新鮮な魚を選ぶことが大事です。鮮度に問題あったら、シメサバにせず加熱調理しましょう。
また、アニサキスは冷凍すると死滅するので、一度冷凍したものなら大丈夫です。しかし、シメサバは新鮮だからおいしいわけで、冷凍したものをシメサバにするというのはちょっと違う気がいたしますが。
ちなみに、グルメブームの影響とはいえクマやイノシシなど野生動物の生肉を食べたり、サワガニの生食、ドジョウのおどり食いといった、本来生食すべき物でないものをものめずらしさから食べることがありますが、生食は寄生虫に感染してくれと言ってるようなものですから、絶対に止めましょう。
2001/11/04