[23]洗顔料を泡立てなくてはならないのはなぜ?

2008年10月3日

以前、化粧品のお試しサロンを運営されている方とお話をする機会があり、その時に、最近の若い女性は顔の洗い方を知らない、という意見を伺ったことがあります。
その方のお話では、メイクを落してください、というと、いきなり洗顔料を大量に手のひらに乗せ、ほとんどあわ立てずに顔に塗ったかと思うと、結構な高温のお湯でそのまま洗い始め、ろくにすすぎもしないで、顔に泡が残ったままタオルで拭いて、すぐスキンケアを使おうとする。そんな人が、珍しくないというのです。
男性で、洗顔料を泡立てずに顔に塗って、顔の上で泡立てる人がいるという話は聞いたことがあるのですが、女性でも!と驚いてしまいました。
今では洗顔料を泡立てるのは当たり前とされていますが、それでもまれに、面倒とか、なぜそんな必要があるのか?という質問を受けることはあります。洗顔料そのものが洗浄力を持つなら、泡立てなくても汚れは落ちるはず、というのです。
泡立てる洗顔料の場合、細かい、しっかりした泡を立てて洗った場合と、泡立てが不十分な状態で洗った場合の汚れの落ち方、洗い上がりの肌の綺麗さは、明確に差が出るといいます。これは顕微鏡写真などを見ると一目瞭然です。
これには、実は理由が3つあります。
一つは、表面積の問題。泡が細かく、しっかりしていると、泡自体の表面積が増えます。すると、汚れと洗顔料が接触する面積が増えるので、それだけ汚れをなじませる能力が上がるわけです。
大きな汚れの場合は、大して差が生じませんが、たとえばファンデーションの洗い残しのような極小の汚れの場合は大きな差となって現れます。皮溝の汚れを見るときちんと泡立てたものでは、しっかり洗い流されている場合が多いのです。
もう一つの理由は物理的な問題です。実は泡を立てると、泡自体が肌をこすり、これによって汚れが物理的にこすり落されます。この作業も洗顔には重要で、泡立てが不十分だと、この作業が上手くいかず、汚れが残ってしまいます。
三番目の理由は安全性と機能性です。洗顔料はもともと泡を立てて、その泡で洗うという前提の下に処方設計がされています。したがって、それ以外の使い方をすると、機能性や安全性が未知の状態になってしまいます。
たとえば固形石鹸の場合、通常の固形石鹸(*)はアルカリ性でpHは10前後です。これを、直接肌に塗って使う人がいますが、そうするとpH10のものが肌に直接触れるわけで、これは刺激になる可能性が高いのです。通常は泡を立てるときに、水と混ざることで、pHは8前後まで下がり、より中性に近い状態になるといわれていて、この状態だと、より安全といえます。
*)脂肪酸石鹸の場合。チューブタイプでも同じです。ただし、原料の構成によってpHはは変わります。
洗顔上手の人は、肌が綺麗な人が多いです。訪問販売のセールスレディをされている方にお話をうかがったことがあるのですが、お宅にうかがい、メイクを落してください、とお願いをするのですが、そのときに顔の洗い方が上手な方の場合は、肌が綺麗な方がほとんどで、スキンケアの製品についても比較的話がしやすいし、効果も出やすいのだそうです。
ところが、洗い方が下手な人の場合は、根本から修正しないと、販売したスキンケア製品もとんでもない使い方をしてトラブルになる場合があり、気が抜けないと。また、ほとんどの場合で肌が汚く、汚れもしっかり落ちていない場合が多いのだとか。
ということで、次回は上手な泡の立て方について、少しレクチャーすることにいたしましょう。
トミナガ☆マコト
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