[65]かなり専門的な美白の話 その5

2009年12月31日

やたら詳しい美白の話。第四段階目は「メラニン色素がメラノソーム(という細胞)へと移行し、ここから皮膚内にメラニン色素が放出される。」という部分。これまた、割と新しい美白理論なので、ほとんどの方にはなじみがないと思われます。
目次では、あまり正確な書き方ができなかったので「メラノソーム(という細胞)」という書き方をしていますが、メラノソームは実際には細胞ではなく、色素顆粒であり、メラニンの集合体とでもいうようなものです。「メラノソームという小胞」という表現をしている研究論文もありますが、要するにメラニンの固まりですね。
一般的な「詳しい」説明では、メラノサイトという細胞でメラニンが作られ、皮膚の中に放出されます、という説明がされています。
これは間違いではないのですが、実際にメラノサイトからメラニンがぽこぽこ出て行って、皮膚細胞の中に散らばっていくわけではなく、最初にメラノソームに渡され、ある程度まとまった状態になってから、メラノサイトの周辺の角化細胞へ受け渡されるというプロセスがあります。
ここに注目した美白メカニズムが少しずつですが、出てきています。
代表的なのが、カネボウの赤い美白で有名な「マグノリナン」。美白主剤にもなっています。また、ビタミンB3の誘導体であるナイアシンアミドにも、メラノソームの受け渡しを阻害する作用が知られていますし、エンドウエキスやヤマイモエキスのなかの成分には、メラノソームの成熟を抑制する作用があり、結果的にメラニンが出て行くのを防ぐ作用があるとされています。
ただ、いろいろ調べていくと、実はビタミンC誘導体であるビタミンCマグネシウムにも同様の作用があるらしく、結局、最新の研究とか、遺伝子発現だなんだかんだと、いろいろ難しいことを散々やった挙句に、振り出しに戻ってるのかよ、って感じもします。
ビタミンCにはコラーゲン産生を促進させる機能も報告されていて、実際にシワ改善に役立つという研究発表もあります。以前、数人の研究者と話していたときに、結局ビタミンCが一番効くよね~、ただ、ありふれているのでインパクトが無くて、マーケティング的にはNGって言われるんだけどさ~、もったいないよね~、なんて会話を交わした記憶がありますが、それを思い出してしまいました。
ということで、次回は、このシリーズの最終回をお届けする予定です。やれやれ難しかった(と、自分で言ってみる)
トミナガ☆マコト
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