[46]ビタミンC誘導体とは??(4)
さらっと済ませる予定が4回連載になってしまった・・・
さて、前回は、ビタミンC誘導体の代表的なものを2つご紹介したわけですが、今回は、ちょっと変り種、というか、ここ数年でよく使われるようになってきた3つのビタミンC誘導体をご紹介しましょう。
ちなみに、ビタミンC誘導体には、これら以外にもたくさんありますが、ここでは、一般に見かけることの多いものだけ取り上げています。
◆アスコルビルグルコシド
10年以上前に、資生堂が「安定型ビタミンC誘導体」として大々的に売り出した成分です。原料メーカーと共同開発という形をとっていて、長い間資生堂の止め原料(他のメーカーが使えない原料の事)とされていたため、古くからある成分の割に配合実績の少ない成分でした。
ここ数年で爆発的に普及し、外資系の化粧品会社などを中心に、広く使われているようです(ちなみに、欧米では美白化粧品という概念そのものが無いので外資系化粧品会社が美白ラインを出すときは、日本のメーカーが作っている場合が多いです。100%ではありませんが、本国で美白の化粧品ラインの処方開発をしている会社を、私は知りません。)。
安定型というのは、これの分解速度が極端に遅いことに理由があります。
化学的な話をすると、リン酸アスコルビルの場合は、リン酸を分解する酵素が働くのですが、アスコルビルグルコシドの場合は違う酵素が働き、その酵素の濃度が皮膚内でリン酸の酵素にくらべて低いので、反応が遅く、そのため長時間反応が続くというわけ。
この成分の特長は他にもあって、リン酸の酵素は真皮層には無いが、グルコシドの酵素は真皮層にもあるというのが、詳しい技術者が着目するポイント。つまり、真皮層内でも効果があるというのが、実は最大の特徴で、そのためシワやタルミへの効果が高いと期待されています。
ただ、一方で、その反応性のあまりの遅さから、効果が無いのではないかという説があったり、水溶性なので浸透しないだろうといわれていたり。賛否両論。
個人的には、あの、しつこいくらいエビデンス(科学的裏づけ)を求める資生堂がメイン成分として使用していたくらいですから、その安全性と有効性は本物だろうと思うのですが。
◆アスコルビルエチル
最新のビタミンC誘導体といわれています。皮膚浸透性、分解性のバランスがよく、使い勝手が良いとされています。
ただ、正直言って、この成分についてはあまりにも情報が乏しく、化粧品技術者の間でも、評価しにくいと言われています。今後、実際の使用が広がれば、もっといろいろな情報が出てくるのでしょう。
いちおう、データだけ見ると、大変有用性の高い成分のようで、期待できるかと思っているのですが・・・
◆APPS
正式名称は長いので省略します。
数年前に出てきたビタミンC誘導体で、水にも油にも溶け、肌への浸透性に優れている上、反応性も高く、有用性が優れているというふれこみです。確かに、データを見てみると、かなり期待できる成分のようです。
しかし、これの欠点は安定性が低いということ。メーカーが出している資料をよくよく読むと、水溶性では不安定と書かれています。化粧品技術者の知人の話では、乳化系では安定することもある、とのこと。
再三申し上げているように、ビタミンC誘導体の目的は「不安定なビタミンCを肌の外で安定にし、肌に入ってから効果を示すようにする」というもの。肌の外で、ましてや化粧品製剤中で安定性を欠いていては話になりません。
特長としてはかなり面白いので、もったいない成分だなと思っています。使用時調整のタイプの化粧品も出ているので、そちらなら有効かとは思いますが、化粧品(特に、ジェル系美容液や化粧水など水分の多い処方)では効果が無いので、購入されるときはご注意を。
とまあ、いろいろお話してきましたが、ビタミンC誘導体は非常に優秀な成分で、本当に効果の出る数少ない成分の一つです。常に一つはビタミンC誘導体の配合されているスキンケアを常備することをお勧めします。そのとき、参考にしていただければ、とても嬉しいです。
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