銀座ルノアール 歌舞伎座前店
訪問日:2001年10月9日
変化に惑わず40年に渡って「我流」を貫いた元祖喫茶店。それが銀座ルノアールである。ここには銀座ルノアール社長「小宮山正九郎」の哲学がある。
銀座ルノアールの前身は煎餅屋である。その喫茶部としてはじめて店を出したのが昭和32年。四谷店が第一号店とのこと。その後昭和40年に、まだファミレスなんてものがこの世に存在しない頃、東京江古田でゆったりロビー風の喫茶店がオープンした。これが現在の銀座ルノアールの基本形となっている。
銀座ルノアールは美味しいコーヒーだけでなく、ゆとりと安らぎの空間を売ることが当社のビジネスであるという明確なコンセプトを持ち、以来今日に至るまでそのポリシーをかたくなに守っている。夏の暑い日、涼しさを求めて入店するサラリーマンを35年にわたって癒しつづけたその功績は大きい。
今回訪れたのは銀座歌舞伎座を道路はさんで斜め前の東銀座店。細長い店なのでいわゆるロビー風ではないがゆったり感はある。何にもましてウェイターウェイトレスの「あたり」が優しい。これはやはりそういう風に教育されているのであろう。
店内にはルノアールの絵画が飾ってあり、BGMはクラシック音楽。これは銀座ルノアールの定番でもある。時代の要求で禁煙席、喫煙席は分けられている。静かな空間をウリとするため、窓は2重ガラスになっている。残念なのは外側のガラスに張ってあるフィルムのため、ガラスが汚れて見えることだ。ブラインドやカーテンなどで日差しを避けるようにし、ガラスだけはクリーンに保ちたい。2階という低層ではあるが、折角の銀座の夜景が台無しだ。
あと店内の証明も蛍光灯を多用しているが、やはり自然の電球色のほうがいいと思う。店の設計上導入されているのか普通のテーブルイスもルノアールにふさわしくない。やはりホテルロビー風のスツールもしくはソファーが望ましい。
メニューはドリンクを中心に価格は高めに設定されている。そのかわり、サブメニューのサンドイッチなどは驚くほど安い。モーニングにいたっては+60円で卵とトーストがつく。これはドリンクの価格に「静かで快適な席料」が含まれている証でもある。ちなみにサブメニューだけを注文することはできない。
35年にわたって同じコンセプトでやってきた努力は並大抵ではないだろう。しかしその波を乗り越え今尚支持されているということは、空間を売るビジネスコンセプトは正しいという証明。今後もぜひともそのコンセプトを昇華していってほしいと思う。
コーヒーは¥500。砂糖はグラニュー糖。しゃれたコーヒーシュガーではなくグラニュー糖であることが伝統。普段はブラックの私だが、ここは一つクリームと砂糖を入れて飲んでみる。するとどうだ、懐かしい味がするじゃないか!
ちなみにスプーンはルノアールのトレードマーク「蜂」が刻まれている。
店内の蛍光灯がちょっとうるさい。真中の列がソファーでないところも気に入らない。ここ歌舞伎座前店は伝統的な「銀座ルノアール」とはいいがたく、ちょっと雰囲気が違う。
静けさには気を使う。窓は2重ガラスに遮光フィルムがはってある。ところがこれが難点で外の景色を台無しにしている。やはりここは分厚く湿っぽいカーテンを使用して欲しいところだ。