[03]油は肌に良いの?悪いの?

2008年4月28日

皆さんの肌は、乾燥肌ですか?実は日本の女性の60?70%は乾燥肌だといわれています。体質や生活環境、洗顔のしすぎなど、要素はさまざまですが、特に乾燥しやすい季節には、肌が敏感になってしまったり、いろいろとトラブルも多くなりがちで、かなり重大な問題となっています。
さて、化粧品の成分に関する質問で、比較的頻繁に尋ねられるのが「油は入っていますか?」という質問です。私自身、油分の配合の多い保湿剤は、感触的に好きではないので、まれに尋ねることがありますが、どちらかというと「油は肌に悪いから使いたくない」という意味で聞かれることが多いようで戸惑います。
で、本題ですが、油は肌に悪いのか。これは、良いとも悪いとも言える、というのが正直なところです。ただ、確実にいえることは、乾燥肌の人は、ある程度の油分を補わないと、どうしても乾燥してしまうということ。油分ではない保湿剤もたくさんありますが、最終的には油分の感触にはかないません。保湿機能の他に、柔軟作用などもあるので、これの要素が大きいのかもしれません。
油が肌に悪いのか?と尋ねられた場合、即答は避け、その方が何を気にしているのか、少し質問をして確認する必要がある、というのが私の経験から学んだことです。
比較的多いのは以下のようなパターンです。
1)油は肌に悪いと盲目的に信じていらっしゃる
2)油が入っていると「油やけ」という現象が起こる
3)植物油はかまわないが、動物、鉱物油はNGというかた
4)混合肌、あるいはにきび肌で油分を避けたい
5)感触がきらい。べたべたする。
1)の場合は、あまり追求しない場合が多いです。どこで聞いたのでしょう?といった会話が成り立つならいいのですが、たいていは、どっかの変な化粧品屋の不思議な理論を、さらに曲解している場合が多く、会話が成立しない場合がほとんど。この場合は、入っているなら入っているとお答えして、さよならします。
2)に関しては、古い話ですね、とお断りして説明しています。ずっと以前(30年以上前)に使用されていたミネラルオイル(当時は流動パラフィンと言っていました)の純度が悪く、これを使用した人が、その不純物のせいで肌が黒くなってしまうということが起こり、油=悪という図式が登場したのです。もちろん、現在の日本の化粧品原料で、そのようなものは存在しません。ただ、海外製品など、日本の基準が通用しない場合は確認できませんので、異国の珍しい製品では注意が必要かもしれません。
ちなみに、日焼けオイルというのがあって、これで日焼けを促進させますが、これと「油焼け」という現象は別のものです。
3)確かに動物油にはアレルギー物質が入る可能性が高かったり、安定性が低い油分が多かったりするので、肌の弱い人などにはオススメできない場合もあります。ただ、牛脂やラノリン(羊の毛から)は、いわば産業廃棄物の2次利用であり、リサイクルの観点からは地球に優しい原料なので、むしろ積極的に活用して欲しいなと思います。わざわざ森林を切り開いて椰子の木の畑を作って、椰子の実を採取し、石鹸を作ったりするよりは、断然いいと思うのですが・・・
ちなみに、鉱物油(ミネラルオイル)については2)と同じですが、皮膚科などでも使用される「ワセリン」も、親戚ですよというと納得される場合が多いですね。ミネラルオイルは、安定性が非常に高いうえ、肌と反応したりということがほとんど無いので、安全性に信頼が置ける良い成分なので、否定的に捉えられるのは悲しいですね。
4)の混合肌、にきび肌の人の場合は、確かにあまり油分の多いものはオススメしないようにしています。ただ、乾燥傾向のある人の場合、安定性の高い油分を配合しているものは、部分的、もしくは少しだけ使うように指導する場合もあります。乾燥を改善しないと、上記の肌質が改善しない場合が多いからです。
5)の場合は、はいそうですか、って感じ。もっとも、使ってみたら、そんなにベタベタしなかった、見たいなことも多いので、テスターやサンプルなどを試すようにオススメする場合も多いですね。
繰り返しになりますが、乾燥肌の人は本当に多いので、油分とは上手く付き合って肌をコントロールされることをお勧めします。
トミナガ☆マコト