第13回 20世紀と21世紀

2019年12月18日

あるテレビ番組によれば、20世紀は戦争の世紀だったそうである。確かにそういわれればそうなんけど、もう少し詳しくいうと、どの世紀も戦争の世紀だったわけで、それが良くも悪くもグローバルな段階に入ったということ、それを可能ならしめた科学技術の爆発的発達とそれを効率的に富に結びつけるための労働集約、ひいては植民地主義が20世紀世界のハードおよびソフト面の特徴だったろうと思う。

この技術革新がが、19世紀の産業革命に源を発しているのは承知のとおりである。また、それを受けたヨーロッパの先進後進の濃淡や貧富の差が2度の大戦を産み、後に共産主義を具現化し、結果的に共産圏の民を塗炭の苦しみに追いやった。

20世紀は人類が手に入れた科学技術を、錬金術にしか応用できず、逆にもてあました世紀だったのだろう。世紀半ばで原爆投下というソフト面の限界を見た後は、さすがに怖くなったのか、科学は宇宙開発やコンピュータに向けられ、後に民生技術となりパソコンが生まれ、ペンタゴンはインターネットを世界に解放するに至った(この点でインターネットはまだまだ「いわくつき」である)。19世紀終盤と同じく、20世紀最後の10年は21世紀のための準備期間となったと思う。

科学技術の発展(大量生産)というハード面の発達と戦争による植民地の拡大というソフト面のルールを得て、日本はやや遅れてそのゲームに加わり、大方の予想を裏切って、準決勝あたりまでは勝ち進んだものの、結局敗者となり、ひどいバツゲームをやらされるはめになった(戦争をゲームに例えるのは不謹慎だが、僕はここで戦争といえども当時のルールの枠内であったことを強調したいだけである)。

後に経済という新たなルールでまた勝者となったが、長続きはせず第二の敗戦を経済面で受け、いまだ長い「戦後」を強いられている。そのうえITという巨大地震の直撃を受けてしまった。ルールの変更通知である。

20世紀初頭は、技術革新に対して「富国強兵」「資本主義」というソフトを、またその反動として「共産主義」というソフトを世界が与えた。21世紀初頭はITというハード面の技術革新に、どのようなソフトやルールを日本が、世界が、あるいは人類が作り上げるのか。それがエゴからくるものであるならば、21世紀はこれまでと同じものになるのだろう。

2001.01.08