第9回■■薄利多売買に賭けてみる

2019年4月8日

みなさんには前回で口座開設完了までをおつきあいいただいた。もちろんこれはリアルタイムではない。実際に私が口座開設を完了したのは今から約一年前のことである。

当時日経平均は2万円前後を推移。ここ最近の「日経平均バブル後最安値」「1万円割れも近し!?」とお先真っ暗トーンで騒ぎ立てられている株価下落を、一年前に予想していた人はいたのだろうか・・・。むしろ「これからは株で資産形成」「低金利に見切りを付けて株式投資」と、煽るような文句が中吊り広告を賑わしていたと記憶している。

しかしそんな状況にあっても、母の嘆きで刷り込まれた「株=必ず損する」という固定観念はかなりしぶとく私の頭に貼り付いており、口座は開いてみたもののしばらくは買う勇気がなかなか出なかった。600円前後で推移している銘柄に対し、おっかなびっくり500円で指値買注文を入れてみたりして、もちろんこれでは買えるはずがない。

毎日ドキドキしながら株価ボードを眺め、ビクビクしながらとんでもない低い指値で買注文を出しては「約定ナラズ」で一日が終わることを繰り返すこと数ヶ月。約定しないことにガッカリするようなホッとするような複雑な毎日だった。

このころの私は、自分が損したときのことばかりを必要以上にあれこれ心配しすぎていたのだと思う。株に限ったことではないが、未知の世界へ一歩を踏み出すために必要なのは、第一に自分なりの攻め方を熟慮すること。そして自分で納得できるスタイルを見つけられたら、後は「案ずるよりも産むがやすし」の思い切りだ。

特に株はお金が絡んでいるのである意味深刻である。「余剰資金をあてる」ことは絶対条件だが、それだってまるまる失ってかまわないというものではない。

しかし、相手は得体の知れない株、絶対損をしないようにと考えるのは不自然なんではないだろうか?損をする可能性が高いことがわかっているなら、いかにそれを最小限に抑えるかということを考えた方が現実的である。加えて、いかに手堅く利益を固めていくか。この2点がポイントになると考えた。

私は、このポイントを満たす取引スタイルを見つけだすべく例の如く情報収集を開始。で、結論から言えば、最終的に私が決めた売買方法は「薄利多売買」。数千円単位のわずかな額でいいから、とにかくこまめに利益を積み上げていく方法だ。こういうやり方を「投資ではない。投機だ」と批判し、「長期保有こそ正しいあり方」とする向きもある。

将来性が期待出来る会社の株を長期保有して値上がりをじっと待つ、高い配当金をねらう、株主優待が魅力的だから保有してみる・・・などなど株とのつきあい方はいろいろある。だから株の取引方法といっても十人十色、株をやっている人の数だけ方法があるはずだ。絶対的な正解はない。要は自分の目的・性格にあうと思われる方法を見つけることが重要であり、それがその人にとっての正解なのだ。そして結果がついて来れば最高なのだが。

ひとまず、私はベストと思われる正解を見つけだしたのだった。次は「案ずるよりも産むがやすし」である。

2001.03.23
◆CANE