第2回■■背中を押したあの一行

2019年4月6日

初めて買った「日経マネー」。隅から隅まで読み尽くした私は、その後図書館や本屋で類似雑誌を片端から読んだ。余剰資金とはいえ、なけなしの貯金が資金源である。できるだけ敵を知り尽くして作戦を立てねばならない。

情報誌やインターネットで、いろんな人がいろんなことを言っているのをイヤと言うくらい読んだ。ストラテジストだのアナリストだのといったおじさんたちのコメントにも、訳が分からないなりにとりあえずは目を通した。つらい作業だった。「今年の市場動向予想」とか、「これから注目される銘柄」なんて特集記事も最初は一生懸命読んだが、どうもすんなり腹に入らない。

唯一なるほどと膝を打ったのは「株は人気投票と同じ」というどこかのおじさんのコメントであった。これは、実際に取引を始めた今となっては、なるほどと実感できる言葉である。また、株とか経済に関しては小難しい理論がいろいろとあって、私もそれを一生懸命読んでいたわけだが、どうも一番つかみ所のない「人間の心理」というのが株価とか景況とかいうものを左右するかなり大きな要因ではないかと感じている。これについてはまた機会があれば書いてみたい。

さて、訳の分からないモノを闇雲に読むのはつらい作業ではあったが、やっただけのことはあった。このおかげで私は一つの真実にたどり着いたのである。一言で言えば、「株のことは決して誰にもわからない」。だから、私が自分の感性に任せて取引をしても、100%損するとは誰にも言えないし、一円も儲けられないと断言することもできないはずだ。

しかし周囲の人に「株ってね・・・」と話しかけると色好い反応ばかりではない。即座に返ってくる「損する」「やるもんじゃない」という声にも揺らぐ私。やっぱりやめた方がいいかなぁと迷う私の背中を押したのは、「新しい投資方法(特に株)を始めるのは吉」と書いてあった占いだった。その1行で、私はオンライントレードを始めることにした。

実際に取引を始めるに当たって、私は次の三つを心に誓った。

(1)実現していない損で悲嘆にくれて家族に迷惑をかけない。

(2)株の売買値は取引がすんだらすぐ忘れる。「もう少し安い値で買っておけば・・・」「もう少し高い値で売っておけば・・・」とくよくよしないこと。

(3)株資金は100万円とし、損失補填はしない。

いよいよ私もデイトレーダー!でも、株ってどうやって買うんだろ?

2001.02.02
◆CANE