第43回■■還暦オンライントレード講座

2019年5月6日

前々から母に「パソコンの株のやり方教えろ」と催促されていたのだが、パソコンの電源の入れ方から教えるのがめんどうで後回しにしていた。

しかしどうしたわけか、その晩母は異様に燃えていた。今まで眠っていたパソコン魂にカッと火がつき、今度ばかりはかなり本気。「手数料も安いし、パソコンで手軽に売買できたら、きっとうまくいくような気がする。一日中ずーっと画面見ながら、下がった!買った、上がった!売ったとやればいいのだ」と言う。

確かに、窓口や電話で売買しているよりは手数料は安い。しかし、「うまくいく」かといえばそれはかなり疑問。「オンライン=成功」かといえば、かならずしもそうでないような気もするが・・・。ともかく、二人でパソコンの前に座ってみた。

母は、おそらく還暦前後の多くの主婦がそうであるように、今までにパソコンを触ったことはほとんどない。それでも一応今年の夏、「IT講習会」なるものに参加していた。ちなみに、「会場が冷房もないぼろ公民館で暑かった。涼しくなってからにすればよかった」と「カチ(クリックのこと)はできるけどカチカチ(ダブルクリックのこと)がうまくできない」というのが講習を終えての彼女の感想。

カチカチで足止めを食っているようでは、先行き不安だなと思いつつ、まずは立ち上がった状態のパソコンを前にして、ブラウザを立ち上げてみる。電話をかけ、接続完了。最初に出てくるYahoo!を画面に出すことに成功。そばで私があっち、そっち、カチカチといいながらやっているせいもあってか、思ったより順調だ。

「株の画面がみたい」というので、とりあえず私の日興ビーンズの口座画面を出してみた。登録してある銘柄情報を10銘柄ずつ一覧にして見られる株価ボードを開いてみると、「これは便利」といたく感激している様子。日興ビーンズの株価ボードには「株価ボードプロ」というのがあって、これだと取引時間中は値が動くたびに自動的に数字が変わり、証券会社の店頭にあるボードを見ているのと同じなのだ、と説明するとぜひそれを見たい、と言う。

しかし、生憎昼間の取引時間中私は家にいない。「明日の昼間自分でやってみるから」というんで、PCの立ち上げ方から株価ボードの出し方まで、パソコンのあちこちに操作手順を書いた付箋を貼り付けながらもう一度説明した。母は「ありがとう。明日自分でやってみるわ」と意欲満々で、その夜のパソコン講座は無事終了。

翌日、仕事から帰った私が開口一番、「やってみた?」と聞くと、母は「今日は○○さんが突然お茶飲みにやってきてそれどころじゃなかった。明日やる」。なぜかそれから毎日友達がお茶を飲みに来たりして、なかなか日中多忙な様子。母が一人でパソコンを立ち上げた形跡はない。「完璧に覚えるまでは頻繁にパソコンに触らないと忘れるよ」とけしかけてみると、「うーん、またやりたくなったらCANEにやってもらうわ。教えてね」。あの日燃えていたあなたはどこへ行った・・・。

■■口座状況■■
◎保有株
(銘柄・保有株数・平均取得単価・直近の終値)
全日空・2000株・452円・312円

◎余剰資金
664,292円

◎一週間の損益
なし

2001.11.25
◆CANE