第31回■■株式新税制その1

2019年4月29日

「緊急経済対策」とやらで新しい株式税制が10月からスタートする、という新聞記事をお読みになった方も多いだろう。「一年以上保有していた株式を売却したときの利益が年間百万円までなら税金はかからない」制度だ。

今でこそ塩漬けに泣くこんな私でも、2000年には株取引で30万円ちょっと利益があったのだ。今から思うと奇跡である。税はすべて申告分離にしていたので、わざわざ税務署までいって確定申告をした。そしてしっかり税金を取られた。

もう少し早くこの税制がスタートしていたら30万円丸儲けだったのにと悔し涙が出るが、よく考えてみたら私は1年以上保有するどころか、数日で売り払っていたのだから、どっちにしても該当しなかったわけである。よかったよかった。

この制度は期間限定で、今年の10月1日から2003年3月31日までに譲渡した場合に適用される。私の塩漬け歴はまだ2ヶ月。自分ではもう何年もひっそり保存しているような気がしていたのだが、こうして振り返ってみるとまだまだ短いものである。というわけでこの制度を利用してやろうと思えば、今もっている全日空株を来年の6月まで温め続けなければいけない。

6月をすぎるやいなや株価がウナギのぼりに上昇し、晴れて十万円単位の利益を手にできれば、控除もされるし万々歳。しかし、「あと1週間もっていれば100万円控除だから」なんて欲を出して売りのタイミングを見計らっているうちに、ぎりぎりのところで結果的に損してしまったらどうしてくれるのだ?

5月くらいにぐんぐん株価が上がるのを横目に、「あと1ヶ月まてば100万円控除」と呪文のように唱えつつじっと6月を待っていると、待ちに待った6月が来た途端に大暴落したりした日には、一体何やってんだか状態だ。

熟慮の末得な方を選んでいるつもりで損することの多い私は、きっと100万円控除に目がくらみ大きな魚を逃してしまうような気がするが、そうならないよう気をつけたいものである。その前に利益出さないことには話にならないのだが。

2001.08.24
◆CANE