[66]かなり専門的な美白の話 その6
やたら詳しい美白の話。そろそろ終わるかと思われているかと思いますが、最後の駄目押しをさせてください。
それはメラニン排出の促進です。
これはいわゆる「美白」にはあたらないという考え方もありますが、実際には「肌を白くする」作用なので、概念的には美白になります。ただ、薬事法上「新陳代謝の促進」といった生理活性にかかわる機能について、化粧品の効能には認められていないため、これについては、あまり触れられることはありません。
要は、肌に蓄積したメラニンを排出させることで、肌を白くする、シミを目立たなくするというメカニズムです。これは、新陳代謝の促進が主な機能になります。
新陳代謝を促進させる成分は、これまたたくさん知られています。代表的なのは酵母エキスとプラセンタエキス。また、ビタミンAも強力な新陳代謝促進剤。このビタミンAの関連成分は、日本ではレチノールくらいしか使われていませんが、アメリカあたりだとレチノイン酸という強力な成分が使用されています。
日本人はビタミンAに対して敏感な人が多く、レチノイン酸については、濃度依存があるものの30%とも50%とも言われる確立で炎症反応が起こるといわれています。そのため、日本では化粧品配合は許可されず、医薬品での使用のみ。それも、かなりアグレッシブな医師しか使われていないようです。
レチノイン酸とはメカニズムが違いますが、AHAとして知られるアルファヒドロキシ酸も、肌の新陳代謝を促す成分。正確には、角質層の剥離を促進させるというメカニズムですが、結果として肌のくすみを根本的に改善するような作用があります。要は、肌を生まれ変わらせることで、そこに含まれるメラニンも排除してしまう、というメカニズムですね。
ただ、レチノイン酸もAHAも肌にとっては結構リスキー。シミの改善ということでは、例えばオバジのブルーピールなどは効果ありとされていますが、AHAではなくTCA(トリクロロ酢酸)という酸を使ったケミカルピーリングで、施術者の体験記などを読んでいると、そんなのほんとにやっちゃって大丈夫なの?見たいのもあります。酵母エキスなどで地道に肌をケアするのがいいのではないかな、というのが、研究者としての立場に立った私の個人的見解です。
ちなみに、日本人をはじめとする東洋人の肌(モンゴロイドの肌)は、炎症作用によってメラニン生成が亢進し、シミを作ってしまいがちという特質がありますので、くれぐれも気をつけて。
最近だとアデノシン1リン酸2ナトリウムOTという成分で大塚製薬が美白主剤の認可を得ているようですが、これは、ケラチノサイトの代謝促進(ターンオーバーの促進)が主な機能ということで、まさに排出。いよいよこの分野まで来たか、という感じです。
肌のターンオーバー促進は、化粧品などの外から来るもの以外にも、入浴による血行促進や十分な睡眠によっても得られます。
シワだとかタルミの防止にもなりますし、そういう、より一般的な生活習慣から見なおすることが、一番のスキンケアだと思うのですけどね。
と、きれいにまとまったところで、長かった美白話を終わりにしたいと思います。
トミナガ☆マコト
【関連記事】
[65]かなり専門的な美白の話 その5