第23回■■四季報の思い出
6月最終週株保有状況:全日空2000株を平均取得単価452円で塩漬け中。
今売って損を確定するのもいまいましいのでしばらくそのままにしておくことにした。もうぜいたくは言わない、今年中に452円を上回れば御の字である。もしダメなら長期保有して株主優待の甘い汁を吸おう、と思い先日四季報を買いに行った。ちょうど夏号が出たところだったので、書店に平積みになっていた。四季報を買うのは、株をやってみようかどうしようか、と迷っていた昨年のはじめ以来だから1年半ぶりだ。しかし四季報って、毎号欠かさず買う人もいるんだろうか?
まだまだバブルの残り香がそこここに漂っていた約10年前、私は東京駅八重洲地下街の中にある本屋で、胸元に大きく「とらばーゆ」と書いてあるエプロンをつけてバイトに励んでいた。場所柄、利用者はほとんどがサラリーマン諸氏。そこで私は、それまでその存在すら知らなかったビジネス書や小難しそうな資格の本、そして「ビデオのタイトルじゃないの?」と思うような題名のついた文庫本などに出会う。初めて「四季報」なる本の存在を知ったのもあの本屋だった。 バイトを初めて間もなく、”最近「シキホーまだ?」とやたら聞かれるけど「シキホー」って何だ?”と思っていると、ある日突然レジの前の一番目立つ場所に噂の「シキホー」がどかどかと平積みにされた。されるやいなや、まさに飛ぶように売れていく。購入者の9割5分がおじさんで、店に入るなりまっしぐらにシキホーに向かい、パッとつかんでドンとレジの上に置き、無言で突きだしたお金と引き替えに、お釣りと袋に入ったシキホーをひったくって帰っていく、というタイプがほとんどだったのだが、たまに「カバーかけて」とおっしゃる方がおいでになった。シキホーは形が特殊、かつやたら分厚いのに表紙が柔らかく、なかなかきれいにカバーが掛けられない。やっと普通のハードカバーにそれらしくカバーがかけられるようになったかな、という程度だった私は、シキホーカバーは特に難航する苦手なタイプだった。「カバーかけて」と言われる度に、「『放課後の女教師』にカバーかけろって言うならわかるけど、こんなものにいちいちカバーかけるな」と内心怒り爆発だった。
あの頃は猫も杓子もカブカブしていた時代。おそらく四季報の発行部数も株式市場に左右されて、今は10年前のような売れ方ではないだろうが、相変わらず「株のバイブル」みたいになっていて、とりあえず初めは四季報買ってみるかな、と思わせるまでの大御所的存在であるのはやっぱりすごい。隣に類似本が並べてあるが、内容は同じとわかっていてもついつい四季報を手に取ってしまうもの。
実際のところ、私は折角四季報を買って指標やら業績やらをみてもそれが良いのか悪いのか理解できない。ましてやこれからこの銘柄を買うべきか否か、なんて判断材料には到底できない。結局「従業員の平均年齢が若い!」とか「給料高い!」とか、自分の職場と比べられて数字がわかりやすいところについつい目がいってしまう。短い解説文も、意味がよくわからないなりに文章に独特のリズムがあって面白いので結構読む。そういえば一年半前は「月収」が書いてあったと記憶しているが、新しいのは「年収」になっていたのはなぜだろう。
ところで全日空の株主優待欄をみてみたら、「株主優待券の発行(枚数により50%または25%相当割引)」「株主特別優待券の発行(50%相当割引)」とあった。しかし対象路線は「国内線」だけで夏休みや年末年始は使えない。もう一つ、「全日空グループ優待券の発行」もあって、全日空ホテルなどで割引になるらしいが、全日空ホテルなんてちょっとやそっと割り引いてもらってもまだ高くて使う気にならない。どうせなら無料券くれればいいのに。2000株とは言え株主なんだから!出資してるんだから!
2001.06.29