第121回■■宝くじよりも株

2019年11月30日

「オレ、もう年明けから会社来ないから。・・・宝くじ当たったら」
このセリフを会社のあちこちで耳にするようになると、私は「今年ももう終わりだなぁ」と、年末気分になる。

先日も、同僚が「今度の大安に宝くじを買いに行く!」と息巻いていた。
確かに、宝くじは「買わなきゃ当たらない」のは事実だが、「買わなきゃ損もしない」のもまた事実、と思っているアンチ宝くじ派の私。

だからと言って宝くじに大きな夢を抱いている人に水を差すつもりはない。
実際、私も年末ジャンボ当選番号発表の生中継を、宝くじを買っていなくてもドキドキしながらみてしまう。
当選発表までの夢やドキドキ感を楽しむなら、宝くじに軍配が上がるけれど、現実的な実入りのことを考えたら、圧倒的に株のほうが有利だと思う。

300円の宝くじを10枚買って3000円。「必ず300円は当たる」のは確かだが、2700円が一瞬にして消える可能性もかなり高い。株で言えば、買値の1割まで値が下がったところで売った、ということになる。
目下、私も全日空を塩漬け中だが、買値の6割くらいまで下がったに過ぎない。宝くじのことを思えば、カワイイものだ。全日空は株主優待券も送ってくるし。

「宝くじより、株でも買ったほうがいいんじゃないの」と何気なく同僚に言ってみた。
すると彼は、「金もないのに株なんか買えないですよ。僕は宝くじに当たったら、未公開株でもドーンと買ってガーンと儲ける」と目をキラキラさせていた。

私は彼の言葉から、「株に対する二つの思い込み」を感じ取った。
一つは、「かなりのまとまった額、つまり宝くじにでも当たらないと株は買えない」という思い込み。もう一つは、「株とは、ガーンと儲けるものだ」という思い込みである。

株は、「かなりのまとまった額」を投じて、「ガーンと儲ける」やり方も、もちろんある。
しかし、「場合によっては十数万円」で「お小遣い程度の額を手に入れる」やり方だって間違いではない。

2003.12.08