第90回■■金持ち本

2019年9月16日

特に予定もない年末、新聞にあった「お金持ちになれる黄金の羽の拾い方」(橘玲著、幻冬舎、以下「黄金の羽」)の広告に釘付けになった私はすぐに本屋へ走った。

私はこの手の本にとっても弱い。つまり、「お金の儲け方」とか「これでお金が殖える」とか、そういう甘いフレーズがちりばめられた帯が巻きついていて、ほんの一時ながら大量に平積みにされ、表紙のイラストが何となく外国チックな本である。私の中では「金持ち本」(CANE命名)に分類され、いまや書棚の一角が金持ち本コーナーとなった。一角と言っても「黄金の羽」を入れて2冊であるが。もう一冊は、もちろん「金持ち父さん・・・」である。

「金持ち父さん」を読み、「自分が働くのではなく、お金に働かせてお金を生ませるのです」なんて考え方に驚嘆した次の瞬間、でもそれって莫大なお金が(何億とか)ないとダメなんじゃ・・・とむなしさを感じていた私にとっては、「黄金の羽」の帯に踊る『日本人には役に立たない「金持ち父さん 貧乏父さん」は今すぐ捨ててください!!』という文字が光り輝いて見えたことはいうまでもない。

1,600円はちょっと高いと思いつつも、どうせ寝正月だからいいやと自分を納得させてカウンターへ。いつもカバーは断るのだが、「金持ち本」にカバーは必需品。早速本屋から帰る電車の中から読み始めて、「資産運用についてのよくある誤解」とか、「法人の不思議」とか、興味のある章が多くて面白く、その日のうちに読みきってしまった。年末年始の休みにゆっくり読むつもりだったのに。

しかし。「黄金の羽」の中の、「最速の資産形成は税金を払わないこと・・・自営業者になって、所得に対して税金を払わない」なんていう部分に私は一番深く納得した。が、だからといってすぐに自営業者になれるわけではない(なることは明日にでもできるが、所得のある自営業者にはちょっとやそっとではなれないと思う)。「この本を読むだけで金持ちになれるわけではないんだね」という当たり前のことに気づく時のやるせなさを、今回もまた感じてしまった。この読後感こそが「金持ち本」の必須条件なのかも。今年こそ、「金持ち本」を買うという愚行は卒業したいものである。

とはいえ、すでに2冊も「金持ち本」に投資してしまったので、遅々とした歩みながらも「黄金の羽」を拾って「金持ち」に近づけたらと思いますので、皆様今年もどうぞよろしくお願いします。

■■口座状況■■
◎保有株
(銘柄コード・銘柄・保有株数・平均取得単価・直近の終値)
9202全日空・3000株・406円・214円

◎今週の損益
なし

◎余剰資金
347,379円

2003.01.15
◆CANE