第7回■■がっぽり儲けて源泉分離、わずかな額なら申告分離

2019年4月7日

住所、氏名、電話番号・・・口座開設申込書を順調に埋めていく私の手は、あるところで止まってしまった。「どちらかをお選びください:源泉分離課税/申告分離課税」という項目である。

要するに「株売却時に発生した利益にかかる税金の支払方法はどっちにする?」という質問であり、もちろん私も「源泉分離課税は株式売却代金の1.05%が税額となり、売却代金から自動的に差し引かれる(確定申告の必要はない)。 申告分離課税は株式を売却したときの所得を、確定申告により他の所得と区分し、20%(地方税6%)の税率により所得税が課税する」ということくらいは調べがついている。

が、「で、どちらがお得なの?」と考えると手が止まってしまう。わざわざ二つの方法が設定してあるということは何かあるに違いない。時間の無駄かもと思いつつも、母にたずねてみるべく彼女のくつろぐ台所へ入っていった。

私「ねえ、株の税金って、源泉にした?それとも申告にした?」

母「難しいことはわからん。なんかしらんけど証券会社の人が源泉でいいって言ったから言われるままに・・・それよりほら、また下がった、ほら」

しまった、話しかけたタイミングが悪かった。彼女が夕刊の株式欄を握りしめていたときだったのである。「ほら、ガイシ(日本碍子)10円上がった。700円台の時もあったのに(いつのことだよ)!あのとき買えば良かった、しまった・・・。それなのにソニーは・・・ソニーは・・・ソニーは・・・(以下略)」

私は「おなか痛たたたた、トイレ」と言って台所から逃げた。私が台所のドアを閉めて廊下に出てもまだしゃべっている(他に誰もいないのに)。すごい。真似できない。でもそんなことに感心している場合ではない。

私は母に頼った自分を反省し、しかし「一日一回以上話しかけてフレンドリーな親子関係を保つ」という目標を達成できたことに満足し、そして「株価の上下を愚痴って家族に迷惑をかけない」という決意を新たにした。

さて、肝心の課税方法だが、選択のポイントは、売却金額にしめる儲け分の割合である。長くなるので、次回も再度このネタにおつきあい願いたい。

2001.03.09
◆CANE