焼肉

焼肉

狂牛病が日本で発病が確認されるまでは、焼肉店はどこも繁盛していた。ファミレスがまだ登場していない郊外レストランの走りである30年前にもすでに朝鮮飯店や東京飯店など繁盛してる焼肉店がすでにあったし、それ以前の商店街型小規模店でも焼肉店は繁盛していた。普通のレストランではうまくいかない店も焼肉店に鞍替えすることで繁盛し始めるという現象まで起こっていた。つまり日本人は基本的に焼肉が好きであり、焼肉店は安易は飲食業態でもあったのだ。

そのせいか、焼肉店はどこの店も「焼肉」が売りであり「韓国料理」をグローバルに扱う店は皆無に近いのが現状。焼肉は韓国料理であるけれども韓国料理は焼肉が全てではない。当然野菜料理もあるし、魚料理もある。しかしそれらはあまり重要視せず、日本では焼肉それも牛肉(和牛)へと特化していった。そこに来て狂牛病騒ぎである。

焼肉店の店主はどこも絶叫状態であるという。牛関連の株価は下落を続け、広がる不安に関係者は政府への不信をあらわにしている。つまり政治が悪いといっているわけだ。

しかし、先週も述べたが焼肉店の全てが閑古鳥というわけでもないのだ。近所の焼肉店「でん」や「まんぷくカルビ」は日曜日はウェイティングが生ずる。一方「宝島」や「安楽亭」は12時半というランチタイムに1組しか客がいないという事態に陥っている。

つまりだ、流行っている店は流行っているのである。「でん」や「まんぷくカルビ」の質に慣れた舌は「安楽亭」や旧態依然とした「宝島」では満足しない。ようは日頃の努力の結果ではないだろうか?ということなのだ。

テレビで小規模焼肉店の店主が集まり今後の秘策を練るという番組をやっていた。それまでの事態は深刻で、牛を使わない豚料理や鳥料理を始めたという。なかにはチキンカレーを始めた店もあったらしい。いずれも集客には結びつかなかったという。当たり前だ。

なぜ、焼肉店ではなく「韓国料理店」をやらなかったのか?今になってみれば大いに反省すべきであろう。韓国料理全般を売り、また韓国のおいしいものを長年にわたって紹介していれば狂牛病など怖るに足らなかったはずだ。今更、とってつけたように鳥や豚肉など扱っても時既に遅し、なのである。

クリスマスにチキンを売って大いにほくそえんでいるKFC関係者諸君。そしてとんかつ屋のご主人たち。対岸の火事とのんきなことを言ってはいられない。今回は「たまたま牛」だったのだ。これがいつなんどき「豚」や「鳥」にならないとも限らない。

そうなったときにも慌てず騒がず「わが道を行く」また「わが道を行ける」ビジネスを展開していただきたいと思う。

2001/12/30

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